【落語】桃太郎 寿輔 犬猿二人会 ― 2010/11/28

ワタシはこの両師匠が落語界でどのような位置(人気)にいるのか明るくはないのだが、会場は200席の日本橋教育会館ホール。ところが客席は50~60席ほどしか埋まっておらず、さすがに寂しい。主催者側は会場の選定を誤ったのではないか? 内容がよかっただけに、残念…というかモッタイナイ。
前座の春風亭吉好「やかん」に続き、まずは寿輔師匠が金ラメを縫い込んだ真っ黄色の着物で登場。芸歴43年というベテランの噺家だが、ワタシは初見で、この派手な衣装と口髭がトレードマークなのだという。
前列のご婦人らを軽く弄ってのマクラの後、自作の「自殺狂」。売れない作家が自殺して名を売ろうとするが、なかなか死ねないというありがちな噺だが、円丈師匠を思わせる一人語りのシュールな笑いで客席を温める。が、オチが“トマトジュース”ではどうも味気なく、もう少し気の効いたオチはなかったのだろうか?
桃太郎師匠はマクラで“廓”での自身の失敗談を語った後、「お見立て」につなぐ。マクラでも触れていたように長野県出身ということで、“訛り”が特徴のお大尽(金持ち)を演じるにはピッタリだが、どうも全体に滑舌悪いような気がする。これもこのヒトの持ち味だろうか? 憎めない風貌ともども、とぼけた味で笑いを誘う。
休憩の後、再び桃太郎師匠。
こちらは自作の「結婚相談所2010」。相談所を訪れた男性のプロフィールを尋ねる相談員とのトンチンカンな問答が延々と繰り返される。そのスピーディーかつシュールな味わいは、これもまたツイッター時代の落語か。
そして〆は寿輔師匠の「文七元結」。
こちらは先程のシニカルな芸風から一転して、見事に大ネタを演って魅せた。きっぷのいい職人気質から、風格ある大棚の主人まで演じ分け、人情噺の本道をいくような出来ばえ。
マクラでは、忌野清志郎の「愛し合っているかい?」
それにしても、前段で「泣かせる落語は落語じゃないヨ」と毒づいた桃太郎師匠のマクラも、じつは(本人の意図を超えて?)トリで観客を泣かせるための演出だったのではないか、さらに言えば、一席目に廓噺を持ってきたのもこの師匠なりの粋な計らいだったのではないかと勘繰ってしまうほど、この日の流れは見事だった。
そうすると、「犬猿二人会」というのもじつに洒落の効いた落語会らしいネーミングだった、といえよう。
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