【TV】ETV特集「希望をフクシマの地から ~プロジェクトfukushima!の挑戦」2011/10/10

ETV特集「希望をフクシマの地から ~プロジェクトfukushima!の挑戦」
ETV特集がまたやってくれた。
8月に福島で開催された「プロジェクトfukushima」の密着ドキュメントだが、90分という長さにも関わらず濃密な内容で、じつに見応えのある作品となった。

大友良英和合亮一、そして遠藤ミチロウ各氏らの呼びかけで開催された「プロジェクトfukushima」が大きな成功を収め、その後もこのイベントに参加できなかった多くのミュージシャンから不参加が悔やまれるといったツイートが飛び交うなど大きな反響を呼んでいたが、ワタシの関心はコンサートの記録映像だけでこの長尺に耐えられる? だったが、それはまったくの杞憂に終わった。

まずは、このイベント企画の立案当初からNHKのカメラが入り込んでいたことに驚かされる。つまり本作は、後追い映像で構成された番組ではない。そこが妙味で、生々しい映像が連ねられている。それはまさに、NHKスペシャルで、震災直後から石巻赤十字病院を捉えた速報性を彷彿されるが、その秘密は当番組のディクター自らがこの企画に関わっていたことで明かされる。

しかし、かのディレクターも福島出身であるということよりも、キモは発案者である大友氏が、同番組の「ネットワークでつくる放射能汚染地図」に衝撃を受けたことにある。
職を辞し、人知れず福島で放射能汚染を調査続ける木村真三氏らの活動に感銘を受けた大友は、ディレクターを通じて「プロジェクトfukushima」の開催予定地の放射能測定を依頼する。

放射能汚染地域に人を集め、コンサートを開いていいものか、大友は悩んでいたのだ。木村氏とともに測定を行ない、木村氏から「この程度の数値なら問題ないでしょう」と言葉を得たときに、なんとも安堵な表情。こうした大友氏ら関係者の、心の揺れ、複雑な気持ち、それらの感情つぶさに拾いあげたことが、本作に単なる音楽ドキュメンタリーにとどめなかった。

ディレクター氏の同級生の農家、大友氏の両親、大友氏と和合氏が語り合った飲み屋のマスター、現地のミュージシャン、さまざまなfukushima人たちが、語れぬ思いをその表情に言葉に、託す。

圧巻は、詩人・和合氏のパフォーマンスだ。
「fukushimaは日本なのか?/日本はfukushimaなのか?」
ステージを埋め尽くした詩人たちともに「連詩」を謳いあげる和合氏は、現役還暦バンク・ロッカー・遠藤ミチロウ氏を凌駕する、魂の咆哮。
詩が、言葉が、これほど力を持っているのかと驚愕させられる魂の叫びだ。

ほかにも、幾多の印象に残った言葉がある。
ミュージシャンとして世界中のボーダー(国境)を超えたきた大友氏が、放射能によって遮られた立ち入り禁止の前で、「超えられないボーダーがここにある」と呻き、8月15日の開催にこだわったという遠藤氏が「戦後つくり上げたものをもう一度検証すべきた」と、重く語る。

そして、チェルノブイリからメッセージを持ち帰った木村氏による、「福島に移住します」という力強い宣言で、番組は終わる。
いや、fukushimaは終わらない。
まるで、このプロジェクトの始まりであるかのように、その宣伝は高らかに鳴り響く。

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