【本】新大久保とK-POP/K-POPがアジアが制覇する2011/10/20

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2冊のK-POP関連本を読んだ。
『新大久保とK-POP』は、人気のK-POPにあやかって、東京の新名所となった“韓流聖地”を紹介するガイドブックと思いきや、そこから更にコリアタウンにとどまらない多国籍・多文化共生地域となった「新大久保」の過去・現在・未来を探った本。

私も以前、お世話になった共住懇の山本重幸氏を最良のナビゲーターとして、この地の歴史を掘り起こし、その成り立ちを紐解き、多国籍・多文化の現況を捉え、さらにこの街とニッポンの未来を幻視する。

まるで共住懇の本であるかのように、いささか山本氏に頼りきった感もあるが、この街から見えてくる“アジアの中のニッポン”を俯瞰する意味は少なくない。

「現在の東京には、約40万人の外国人がいます。私は、この流れは止められないんじゃないか、と思っている。もしかすると、2050年には、日本全国が新大久保になるかもしれませんね」という山本氏の言葉が、日本と世界の未来を射る。

もう一冊の、『K-POPがアジアが制覇する』もK-POPブームをなぞったかの如き総花的にアーティストの素顔や人気の秘密、活動の紹介で始まるのだが、次第にその様相を変え、やがて日韓比較の文化・精神論へと舵を切ってゆく。

「女性ファンというものは、アイドルや俳優のことだけを知りたいのであって、誰かのフィルターを通したアイドル論を読みたいのでは決してない。一部の文科系・サブカル系を除いて、批評を楽しむ女性は少ないのである」として、前半は女性読者を惹きつける内容とし、後半は「男性というのは、アイドルの語るインタビューももちろん好きだろうが、自分のアイドル論を持っている人が多いように思う。ブームを先どる形で、『ミュージック・マガジン』誌は二○一○年三月号でK-POPを特集していたが、この本は数多くのライターたちによるアイドルに関する総論で徹底的に構成されており、男性からの指示を得ていた。(略)たぶん、筆者がこの本でやっていることは、非常に男性的な試みなのだろう」として、男性読者に軸足を移したかのような構成になっている。

しかながら、その筆者による「アイドル論」もどうも引用が多いせいか、「自分の」論調としての印象が薄い。その比較文化・精神論もあまり深みが感じられない。

「J-POPにあふれる「ありがとう」」に対して、「ネガティブなことから目をそむけない韓国」と比して、問題の解決法を「自分の中」に求める傾向にある日本人の「内向き」さを批判的に語るのは、いかにも短絡的に思えてしまう。

「我々は、二○一○年という年に、K-P0Pを通してアジアや世界という「他者」を客観的に見る新たな機会を得たのである」という筆者の結びのは、前掲書とも通奏するキャッチーな一文であると思うが、どうせなら日韓だけでなくアジア各国のポップカルチャーに精通する筆者ならでは、汎アジア比較論まで拡げてほしかった。

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