【映画】ソーシャル・ネットワーク2011/07/28

ソーシャル・ネットワーク
『ソーシャル・ネットワーク』(2010年・監督:デヴィッド・フィンチャー)

Facebookの創設ドラマを描いた話題作をようやく観賞。ひと言でいえば、デヴィッド・フィンチャー監督の“語り口”の上手さが光る作品といえる。

『セブン』があまりに鮮烈だったために、“映像派”という印象が強いフィンチャー監督だが、本作ではその映像魂は極力抑えられ、物語を転がしていく構成力にその映画ヂカラが特化される。

まずもって、創設者マーク・ザッカーバーグが起された二つの訴訟を軸に、Facebook創設のストーリーをなぞっていくという着想にも瞠目だが、裏面史から正面史をあぶり出すことで、見事な人間ドラマになっている。

それを成功させたのは、先にも挙げたフィンチャー監督の構成力なのだが、過去のFacebook史と、現代の訴訟シーンを交互にカットインしながら、破綻せずに緊張感あふれるエンターテイメントをつくり上げた。
また、ドロドロとした訴訟話をビターな味つけとして、単なる成功譚に終わらせることなく、ホロ苦い青春物語としたことも、本作成功の秘密といえる。

ところでワタシが気になったのは、登場人物たちのエスニシティー(民族性)で、ザッカーバーグという名からオランダ系か?とも思われたが、wikipediaで調べるとユダヤ教徒の家庭に生れている。演じるジェシー・アイゼンバーグもユダヤ系なので、アメリカの観客ならばザッカーバーグもすぐにユダヤ系であることがわかるという仕組み。

「アイデアを盗まれた」とザッカーバーグを訴えたハーバード大ボート部エリートのウィンクルヴォスも、その聞き慣れない名から出自が気になるところだが、wikiではよくわからない。

もう一人、ザッカーバーグを訴えたFacebook創設者の一人、エドゥアルド・サベリンはブラジル系アメリカ人だ。

なるほど本作はまた、人種の坩堝・ニューヨーク(しかもカリカチュアライズされたハーバード大)を部隊にしたマイノリティ(?)人種抗争劇というステレオタイプな側面も持ちあわせているのかもしれない。

『ソーシャル・ネットワーク』の参考レビュー一覧(*タイトル文責は森口)
「21世紀の『市民ケーン』」--お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法
「「ネットとリアル」の親和性は?」--ブリストン発新潮流アメリカby冷泉彰彦
「天才の孤独感が描かれた秀作」--徒然なる日常
「一度や二度では掴みきれない奥行きをもった作品」--アゴラ(小川浩氏)
「時代の変化のリアリティをとらえていない失敗作」--粉川哲夫の【シネマノート】

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_ お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法 - 2011/07/31 02:07

2010年・米/ソニー・ピクチャーズ原題:The Social Network監督:デビッド・フィンチャー脚本:アーロン・ソーキン原作:ベン・メズリック 世界最大のSNSサイト「Facebook」創設