【CD】鈴木慶一/ヘイト船長回顧録 ― 2011/04/10
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近年、曽我部恵一とユニットを組むが如く『ヘイト船長とラヴ航海士』 (2008年)、『シーシック・セイラーズ登場!』 (2009年)といったソロ作を立て続けにリリースしていた御大だが、本作はその三部作・完結編として位置づけられれている。
とはいうものの、じつそれらの緒作を耳にしていたもののをじっくりと聴き込んでいたわけではなく、本作も当初はそのレトロ風味のモコモコ感に耳が反応せずに、捨て置いた次第。
というのも、もう何年も前のことだが、初めてムーンライダースのライブに接した際に、カルトな生演奏を期待していただけにどうもそのモコモコなサウンドが肌(耳)に合わず、やや期待外れだった経験を持っているからだ。
しかしながら、まるで“発掘音源”のようなポップ・マエストロ作を紐解くうちに、ベールが少しずつ剥がれ、ワタシの中で突然視(聴)界が開けるようにきらびやかな音の粒が拡がっていった…。
大滝詠一氏の『ロング・バケイション』 (1980年)が、ポップの粒を外界に向けて放ったビッグバンならば、この『ヘイト船長~』はそれらの粒を拾い集めて玉手箱に詰め込んだかのような印象。
鍵穴から目を凝らして見ないと箱の中の宝の山は拝めないが、その宝はポップ/ロックンロールの歴史と地理に縦横無尽にローラーをかけて集められた逸品ばかり。
ブルース、カントリー、ジャズ、ロックンロールからパンク、テクノ、歌謡曲、祭り囃子、グリー(男声合唱)、はてはワールドミュージックまで息もつかせぬ、まさに全身音楽家・鈴木慶一の一大レトロスペクトが全開する。
とくに、後半⑫「Witchi-Tai-To」あたりからのヘイト船長が不屈の魂で荒海から生還したかのような威風堂々ぶりは、まぶゆい音像として迫る。あくなきポップ探究者としての、鈴木慶一氏の矜持あふれる一枚。
◆『ヘイト船長回顧録』の参考レビュー一覧(*タイトル文責は森口)
「懐かしさと新しさが渾然一体となった強烈なトリップ感覚」--One Way To The Heaven
「とんでもなく混沌とした情報量の多い世界」--松岡康史のワールドミュージック短信
「聴くものそれぞれの物語が作られていく…」--cozy-zonked-quail blog
「ハイブリッドな環境でアナログな遊びをする粋人」--席亭風流日記
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コメント
_ 鮪 ― 2011/04/13 00:43
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私は、3部作の1部2部は未聴。
反省し、そのうち聴いてみます。