【本】ルポ 認知症ケア最前線2011/09/10

ルポ 認知症ケア最前線 (岩波新書)ルポ 認知症ケア最前線 (岩波新書)
佐藤 幹夫

岩波書店 2011-04-21
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全国の事例をもとに「認知症ケア」の最前線を取材・報告した最新刊。「認知症」といえば、少し前まで「ボケ」て何もわからなくなった人…というイメージがあったが、今ではその人なりの「ケア」が大切でされ、さまざまなケアの仕組みや方法が介護・医療の現場から実践されている。

それだけに現場サイドにいる人から話を聞くと、近年の認知症に対する認識やケアの進化は、かつてと比べると「隔世の感がある」という。近年、認知症対応のグループホームやデイサービスが急増していることも、こうした背景があるだろうし、何しろ「ケア」という考え方自体あまり認識されていなかった。もちろん“高速”と言っていい、急速な日本の高齢化社会への危機感がその根底にある。

それでは、具体的に「認知症のケア」というのはどういものなのか?
どのような施設で、どのようなスタッフが、どのようなケアを行っているのか?
一般の人にもわかりやすく、その最新型を紹介しようと試みたのが本書だ。

滋賀県守山市の「もの忘れカフェ」、京都市や宮津市にある「京都式」のえらべるデイサービス、全国に先駆けた共生型として知られる富山市のデイケアハウス、幼い子が高齢者とともに笑顔になる「幼老統合 ケア」など、全国のさまざまな先進的な事例が紹介される。

ただ一読して思うのは、高齢者医療や介護現場の取材を重ねてきた筆者ならでは労作であると思う反面、仕事の関係でこうした事例のビジュアル(画像・動画)を観てきた身としては、どうも活字だけでは伝わりにくい部分を感じてしまうのだ。

再三の提言になるが、こうした本こそ画像・動画と連携した電子書籍こそが効力を持つのではないだろうか? 最新の事例や試みはネットでも伺い知ることが出来る時代だ。ならば、『こんな夜更けにバナナかよ』(渡辺一史著)『母のいる場所 シルバーヴィラ向山物語』(久田恵著) などのようなヒューマン・ドキュメント的な“物語”が描かれていなければ、現代ではこうしカタログ・ルポ的な「本」はそれほど意味を持てなくなってしまった…。

残念ながら本書を読んで、そんな「本が本であることが難しい時代」を、改めて実感してしまった。

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