【映画】アウトレイジ2011/09/03

『アウトレイジ』
『アウトレイジ』(2010年・監督:北野武)

「全員悪人」をキャッチフレーズに、ヤクザの抗争劇を描いてカンヌ映画祭りで話題を呼んだ北野武監督作。…なのだが、この作品で北野監督はいったい何を描きたかったのだろうか? まずそんな疑念が沸いてしまった。

というのもヤクザの抗争劇などは、それこそ今まで数多(あまた)描かれてきたわけだし、血も涙もなく合従連衡を繰り返す策略・謀略劇にしても、『棒の哀しみ』などのヤクザ映画のみならず、『華麗なる一族』などの企業買収や『武士道残酷物語』などの時代劇でも散々語られてきたことだ。だから、本作における抗争劇最期の勝者にも意外感はない。

ではこれらの諸作と本作のどこが違うかといえば、北野監督が得意(こだわる?)とするスタイリッシュな暴力描写かと思うのだが、本作ではそれが全開しつつも北野監督がもう一つの「顔」ともいえる「静」がここにはない。あるいは効いていない、というべきか。

デビュー作『その男、凶暴につき』で北野氏がただただ路上を歩くシーン、そして『HANA-BI』での岸本加世子との“無言”の会話シーン。それらの「静」のシーンがあってこそ、「動」なる暴力描写が映え、水墨画のような陰影がついた。暴力のもつ「哀しみ」が伝わってきた。

本作にはどうもそれが足りない。あえて封印したのだろうか?
『ソナチネ』をして「ダーティーハリーと小津の幸せな結婚」と評された北野節は影をひそめ、ここでは結婚相手のいない殺人スプラッタームービーとなってしまった。

続編も制作されているというが、さて幸せな結婚は見られるだろうか?

『アウトレイジ』の参考レビュー一覧(*タイトル文責は森口)
「昔の自分を殺した北野武」--シンジの“ほにゃらら”賛歌
「本家帰りしたバイオレンス映画の快作」--お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法
「面白い映画だが、もう少し工夫の余地も」--映画的・絵画的・音楽的
「北野監督らしいトンガリ感が感じられず」--超映画批評(前田有一氏)
「北野監督が暴力の世界をリロードして臨む、ニュー・バイオレンス映画」
--映画通信シネマッシモ(渡まち子氏)

「新たなステージに立った暴力映画」--映画.com(高崎俊夫氏)
「エンタティンメントであると同時に、北野武監督による暴力論」
--映画ジャッジ!(小梶勝男氏)


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(1)この映画は、北野武率いる弱小ヤクザ組織大友組が、上の大組織(北村総一朗率いる山王会本家と、その下の國村隼率いる池元...

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