【本】スピリチュアル市場の研究2011/09/13

スピリチュアル市場の研究 ―データで読む急拡大マーケットの真実スピリチュアル市場の研究 ―データで読む急拡大マーケットの真実
有元裕美子

東洋経済新報社 2011-04-22
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日本にそれが紹介された当初はキワモノ的な扱いをされていた(と思う)「スピリチュアル」だが、いつの間にか「スピ系」としてフツーの人があたり前のように語るようになった興隆ぶりを受けて、それを「成長産業」としてビジネスの視点から俯瞰した書。

「スピリチュアル」というと、つい『アクエリアン革命』ニューエイジシャーリー・マクレーンといった欧米の精神世界ブームばかりを想起してしまう世代だが、じつは「スピリチュアリティは日本人にとって意外にも身近なのもである」と、まずは筆者が指摘する。

なんと「神社仏閣の数は約16万と、コンビニエンスストア数(4.3万)や郵便局数(約2.4万)の合計よりもはるかに多い」「初詣参拝客は1億人に迫る勢いであり、アンケート調査でも4分の3以上が年1回以上参拝していると」と意表をつく「和スピ」の浸透を指摘をしたうえで、「それでも日本人はスピリチュアルなことを信じているのだろうか」と疑問を呈し、米国のスピリチュアル・ビジネスとの比較(差異)を明らかにしていく。

米国内のレイキ利用者120万人(米国成人の約0.6%)、ヨガ利用者1600万人(人口の約5.3%)、ヨガ市場約3000億円以上という数字を紹介しないがら、「移民社会である米国であるからこそ、出身国の文化の一部として風水やヨガといったスピリチュアルなものが持ち込まれ、それらが生活の一部となって定着し、多様性を重視する中で広く社会に浸透している」とする。

一方で、2000年代中頃から興隆した日本のスピリチュアル・ブームについては、「スピリチュアリティが浸透したのではなく、スピリチュアルな考えに深く触れた経験のない多くの人々が批判的吟味をする材料が乏しかったがために、表面的に手軽な開運などの考え方に飛びついて広がったとも解釈できる」として、「お参りや占いゲーム等を中心に利用する大量のライト・ユーザーがマジョリティを占めるというわが国固有のスピリチュアル・マーケット構造が生れている」としている。

スピリチュアル・ビジネスを利用する目的やメリットを問うたアンケート調査でも「特にない、なんとなく」を選んだ人の割合が高いことも、その証左とするなど、冷静な視線でこのブームを分析する。

もっとも本書の構成は、主にこうしたスピリチュアル・ビジネスに関するさまざまなデータを羅列したものなので、「深い分析」を求める読者は物足りなさを感じるだろう。
しかし、冒頭にも述べたように本書の目的は、スピリチュアル・ブームをビジネスとして分析しようとする試みなので、そうした要求は本書に続く今後の研究に委ねるべきだろう。

いずれにせよスピ系にハマッてしまった人は、今ワタシたちが今どこにいるのか確認する意味でも、読んで損のない一冊だと思う。

『スピリチュアル市場の研究』の参考レビュー一覧(*タイトル文責は森口)
「“スピリチュアル”市場から学ぶところも多いが、気になる点も」--宗教情報センター(藤山みどり氏)
「スピリチュアル・ビジネスをさまざまな角度からレポート」-- 一条真也のハートフル・ブログ
文字「「キワモノ」で済まぬ成長ぶり」--asahi.com(梶山寿子氏)

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