【LIVE】ペーター・ブロッツマン・スーパートリオ!2010/11/24

ペーター・ブロッツマン SUPER TRIO
「キタ~~~~!」と思わず叫びたくなる、まさに“魔人”たちによる狂宴の一夜。ペーター・ブロッツマン(as、cl)、灰野敬二(g、三味線、voice)、ジム・オルーク(g)によるインプロビゼーション・ライブは、まさにそんな超弩級の体験だった(11月23日・新宿ピットイン)

ブロッツマンといえば、ワタシにとっては「IPCオーケストラ」の来日公演(82年)での吹きっぷりが印象に残るその人なのだが、近年はソロとしてバリバリと活躍しているようで、しばしば来日も果たしている。
が、ワタシにとっては何しろ28年ぶりの再会なので、まったく先入観なく接したのたが、とにかく驚いた。まず、ひと吹きして出てきた音が、デカイ!…スゲぇ音圧。
泰然自若、山の如く仁王立ちしたまま、途切れぬことなくアヴァンギャルドなフレーズを次々と繰り出し、ブリブリ吹きまくる“怪人”。なんと齢69歳(!)のジジイというのだが、恐れ入る。

この“怪人”に絡みつくのが、灰野氏の鋭角ギター。
もちろん灰野氏といえば、1970年代からパンク/ノイズ/ジャズ/現代音楽etc.での変幻自在な活躍で知られているが、なぜかワタシは一度もその生音と接したことがなかった。
なので、こちらも一音でノックアウト。切り込み、差し込み、ゆがめ、爆発させ…音を自在にコントロールして、ブロッツマン翁に強力な灰野磁場を対峙させる。

この二人の暴走番長に、当初は寄り添うようにギターを弾いていたオルークも次第に“狂い”始める。こうなったらもう誰も止められない。
3人の“狂人”たちが、おのれの魂を吐き出すかのように、吹きまくる、弾きまくる。
音の結界がやぶれ、その粒子たち宇宙に向かって弾けるように、会場を満たす。息もきらさず怒濤の2曲で前半を終えて、休憩に入った。

後半のセットでは、なんと灰野氏が三味線を持って登場。そのエレクトリック三味線を掻き鳴らし、地鳴りのようなヴォイスで圧倒する。やがてそれは女声を思わせるようなヴォーカリゼーションへと変化し、独特のフェイクをまじえた絶品の「黒い花びら」につながる。まさに、全身音楽家。何をやっても灰野敬二ワールド。

そして、最期は魔人3人の暴走列車が再び全速力で走り出し、ここは煮え立つ底無し沼へ向かう地獄の参道か、はたまた天上への道か…と、忘我のまま狂騒に酔う。

こうして全4曲、2時間。奇跡の競演が終わった。
“魔人”たちが生み出した、その場でしか体験できないまほろばの音たち。その瞬間に立ち会えた幸せを、ワタシは噛みしめている。

↓応援クリックにご協力をお願いします。
人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ