【LIVE】山下達郎 PERFORMANCE20102010/09/30

山下達郎 PERFORMANCE2010
8月6日から開催されている山下達郎のコンサート・ツアーの東京公演初日に参戦(9月29日NHKホール)。今回のツアーはデビュー35年周年ということで、全国35カ所で催される予定が追加があり39公演に。さすがのプラチナ・チケットぶり。
「35周年」というのは、本人はもとより、シュガーベイブ時代からその活動を追いかけてきたワタシたちにとっても感慨ひとしお…。それよりも還暦間際にして(失礼)、ここ数年毎年全国ツアーを行っているその気力、体力、充実ぶりに脱帽。なにせヤマタツのライブといえば、通常、3時間を超えるもので、この日も3時間20分(もちろん休憩なし)にわたって圧倒的なパフォーマンスを魅せてくれた。

ご本人もMCで「ツアー途中なのでネタバレご配慮を」と言っていたので、詳しいセットリストなどは記さないが、コンサートはヤマタツのギターカッティングが冴える3曲で華やかな幕開け。ヤマタツのカッティングといえばギター専門誌にも取り上げられるほど定評あるが、愛器テレキャスターを抱え、本当に気持ちよさそうに、はじけるように弾き、歌う。
そして、これまたヤマタツ・コンサートには欠かせない舞台セットだが、今回はカントリー風の佇まい。ウッドデッキを設えた家や芝生、納屋に収められたトラクター(ここも演奏ステージ)、奥には風力発電の風車が回り、緑の畑が広がる…。このセットが曲に合わせて、昼、夜、冬、街へと表情を変える。ライティングも合せて、いつもながら、その細やかな仕事ぶりには感心させられる。

もちろん、最も感心(激)させられたのは、ヤマタツ氏のパフォーマンス。前回(98年、もう12年も前か!)観たときは、アグレッシブで驚異的なヴォーカリゼーションに驚かされたが、今回はその声をすっかりバンド・アンサンブルに溶け込ませて、じっくり、しっとりとその歌をきかせてくれる。この肩の力の抜け具合は(けっして年のせいだけではなく)、新作アルバムのプロモーションとツアーを切り離し、ツアーそのものを楽しみ、ファンに聴かせたい、というスタイルの変化によってもたらされのではないだろうか。
そして、これも毎回聴きもののヤマタツ・バンドも一糸乱れぬ演奏で、抜群のコンビネーション。ファースト・ソロ作に収められたシュガーベイブのレパートリー曲を、シュガーベイブ・スタイルで演奏(ブルージーでサイケな一面も)するなど、遊び心も満載。アカペラ2曲から、あの名曲に繋ぐあたりの構成も素晴らしい。お約束の地声+トラメガ・パフォーマンス、演歌メロディーなど、聴きどころは枚挙のいとまがない。
選曲もほぼベスト・オブ・ベストで3時間20分、まったくダレることなく、その「孤高な」音楽世界を堪能させてもらった。(褒めてばかりいるが本当に素晴らしかったのだから仕方ない)

結局、ロック/ポップ・ミュージックに原初のエネルギーを求めことはもう難しい。しからば、「後退」でなく「ノスタルジー」でなく、それが生き続けるにはもはや「成熟」しか道はないのであるまいか。毎年クオリティの高い新曲を発表し、新たな若いファンをも獲得するなど、その「成熟」の道を見事に提示しているアーティストの一人が、間違いなく山下達郎だ。
そうした意味では、爆音ロック全盛時代にシュガーベイブを率いて、「孤高」の道を歩んでいたヤマタツは、ずっと「革新」だったのだと思う。もちろん今もそれは変わらない。

これは予見だが、今回のツアーでヤマタツ氏が提示したたような新作プロモーションとツアーを切り離した展開が、今後音楽業界に拡がるのではないだろうか。もちろんそれには、ヤマタツ氏が言うように「(曲など予習せずに)初めてコンサートに来た客を魅了する」アーティストとしてのクオリティがますます求められると思う。
例えば、ラスベガスや劇団四季などのように、しかもノスタルジア・サーキット(懐メロ興行)ではない形で、いつでも山下達郎のコンサートが堪能できる常設小屋が出来たら、それはそれでファンとしてこんな嬉しいことはない…そんなことまで夢想してしまう「ロックの未来」を観たコンサートだった。

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