【映画】悪魔の発明2010/09/29

『悪魔の発明』
『悪魔の発明』(1957年・監督:カレル・ゼマン)
ジュール・ヴェルヌが1896年に発表した古典的なSF小説を、チェコアニメ界が生んだ“幻想の魔術師”カレル・ゼマンが瞠目の映像によって奇想天外な世界につくりあげた。まるで、江戸川乱歩の『パノラマ島綺譚』を独自の美学で漫画化した丸尾末広のように、それは“魔術師”の脳内に渦巻く「妄想」を見事に映画表現として結実させた傑作といえる。

核兵器を思わせる強力な爆弾を開発中に、教授とその助手が海賊に誘拐され、孤島に幽閉される。研究を続ける教授と、それを阻止しようとする助手と彼を助ける美女…というのがストーリーだが、なにしろその映像とアイデアが素晴らしい。
映画全編は銅版画を再現したようなモノクロ世界が覆い、実写、アニメ、模型撮影などがさまざまなに組み合わされ、摩訶不思議な世界をつくりあげている。とにかく、次々に繰り出されるその映像美に、目をみはり、ときに笑い、息をのむことしばし…。

1957年の作品だが、ハリーハウゼンに並ぶアニメーション表現の祖としても、今を予見した核兵器テロ映画としても、現代でこそもっともっと観られてイイ作品。『メトロポリス』復元版上映のように、イベント等での上映機会があれば、アニメ好きの若者たちもきっと熱狂するに違いない。

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