【TV】熱海の捜査官2010/09/21

熱海の捜査官
ほとんどTVドラマは観ないワタシだが、最後まで観てしまったコメディー+ミステリー+クライムドラマ『熱海の捜査官』(テレビ朝日・全8回)。放送は終了してしまったが、いずれ再放送されるだろうしDVD発売も決まっているようなので、ここで取り上げる。
バスごと4人の女子高生が失踪した事件から、3年後。うち1一人の生徒が記憶を失くしたまま生還したことで、事件解明に動きだす捜査官のオダギリジョーと栗山千明…というのがストーリーの大枠だが、何しろ登場人物がすべて怪しく異様。そこにユルいギャグと意味のないシーンが重なり、まったくの「異世界」を舞台としてドラマは進行する。
しかも、第一回からオダギリが決めゼリフ「ははぁ~、だいたいわかりました」とつぶやくので、切れ者刑事による事件解決が展開するかと思いきや、ますます混沌とし、新たな怪しい人物、事件が次々と起こる。そしてオダギリは毎回同じセリフをつぶやく…。つまり事件解明ドラマの定石から大きくハズれた「何じゃ、コレは?」という展開。、最近はこーいうテイストのドラマが流行りなのか? と怪訝に思いつつ、いつの間にかハマッた。
同じくオダギリと三木聡監督による『時効警察』を観ていないので、比較はできないが、ネットでの感想を読むと一話完結だった(らしい)『時効~』とはだいぶ趣を異にするようだ。また、TV版『ツイン・ピークス』との類似を指摘するむきも散見されたが、こちらもワタシは未見。ただし、荒唐無稽で不合理な展開に、ワタシは『マルホランド・ドライブ』を想起していたし、田中哲司扮する鑑識官の髪形がもろ『イレイザー・ヘッド』だ(笑)。ワタシが敬愛するデイヴィッド・リンチへのオマージュであることは間違いない。
で、誰もが驚かされたであろう、最終回。犯人に異論はなく、共犯者がいたことも特段に破綻はない。が、しかしあのラストをどう説明するのか? エンドロールが流れた後に、唐突に終わるこの物語は、観る者にさまざまな解釈に委ね、「異世界」のまま幕を閉じる。
それはそれでいい。ワタシだって『2001年宇宙の旅』を最初に観たときは、あのラストを説明できなかった。しかし、ドラマの展開の中でさまざまに張られた「伏線」は何だったのか、まったく説明がないまま終わってしまう。ワタシはその潔さ(?)に、驚き、呆れ、称賛を惜しまない。ニッポンのドラマの「進化」…あるいは「異化」に対して。
(ほぼ)深夜枠という自由さはあれど、ここまで「カルト」に徹して虚構をつくりあげた制作陣に拍手を送りたい。

↓応援クリックにご協力をお願いします。
人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ

熱海の捜査官オフィシャル本熱海の捜査官オフィシャル本
オダギリ ジョー 栗山 千明 三木 聡 テレビ朝日『熱海の捜査官』スタッフ

太田出版 2010-09-18
売り上げランキング : 29

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
熱海の捜査官熱海の捜査官
三木 聡

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-09-18
売り上げランキング : 211

Amazonで詳しく見る
by G-Tools