【映画】アクロス・ザ・ユニバース2010/09/14

アクロス・ザ・ユニバース
『アクロス・ザ・ユニバース』(2007年・監督:ジュリー・テイモア)
ビートルズ・ナンバー33曲によって紡がれるミュージカル映画。これはもう、ビートルズ・ナンバーのPV集といっていいだろう。それ以上でも以下でもない。ビートルズやビートルズの楽曲に興味のない人は、観る必要のない映画だと思う。
ストーリーも凡庸な青春メロドラマで、途中ドラッグやベトナム反戦なども盛り込まれるが、それらも深刻ではなくメッセージとして伝わってこない。主人公の青年が「ジュード」(ジム・スタージェス)で、ヒロインが「ルーシー」(エヴァン・レイチェル・ウッド)というのもあまりにベタ。父親や友人たちのサイドストーリーもありきたり。ビートルズナンバー(歌詞)に合わせて、ストーリーをつくったわけだからだから(おそらく)高尚な脚本を求めてもそれは無理だというものだろう。
が、前述したようにこれをビートルズ・ナンバーの(当時は製作されなかった)新作PV集と観れば、それはそれで楽しめる。カラフルな映像と奇抜なアイデアで、次々とその名曲群に新たな光を与えていくわけだから、製作陣としてはきっと楽しい作業だったに違いない。キャストは吹き替えなしで歌っているというが、それもそうヒドいしろものではない。造船会社の老職員が年を聞かれて「64歳」と答えたり、ビルの屋上の演奏シーンなど、ビートルズファンならニャッとさせられる「オマージュ」もたっぷり。
むしろワタシにとって発見だったのは、その「歌詞」たちが「セリフ」として十分「使える」ものだったことだ。英語に堪能ではないこともあるが、ビートルズ・ソングの「歌詞」がこれほど魅力的なものだったとは!さらにはこの「歌詞」をこの場面で使う!? という意表を突かれることもしばしば。それはビートルズが生み出した「言葉」たちが時代を超えて、普遍的かつ万華鏡の如く、ワタシたちに何か伝えている証左ではないだろうか。
そうした意味では、解散して40年も経つのにいまだにワタシたちに新たな発見、新たな楽しみ方を教えてくれるビートルズの偉大さに改めて敬服するのみ。まさに、墓場までビートルズ、骨の髄までビートルズだ。
こうなると、シルク・ドゥ・ソレイユによる『ラブ』公演を早く観てみたい。

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