【CD】Five Finger Discount(万引き)/Phew2010/09/16

ファイヴ・フィンガー・ディスカウント(万引き)ファイヴ・フィンガー・ディスカウント(万引き)
PHEW

BeReKet/Pヴァイン・レコード 2010-09-02
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伝説のパンク歌姫(といっても、いまだバリバリの現役だが)Phew(フュー)によるカバー集。…と聞いて、また流行りのカバーかよ、と思うのは早計。なにしろあのPhewだ。そんじょそこらのカバーアルバムになるわけがない。
先頃亡くなった加藤和彦の「オーブル街」でこのアルバムは、静かに始まる。そのPhewの浮遊感漂う声を聴いただけで、ギクリとする。音程も安定もせず、声量もあるわけでもない。しかしその圧倒的な存在感は何なのだろう。「唄」とは何なのだろう?と思わせる強烈な求心力。
蚊の鳴くような声で「世界の果てまで連れてって」と歌われれば、本当に「世界の果て」に連れて行かれたような気分になり、「どこかであなたが生きている」と歌われれば、「本当に生きていてほしい」と思うようになり、そして「素晴らしい人生」と歌われれば「素晴らしい人生」とは一体何なのだろうと考え込まされる…。
それらの「唄」たちに、ジム・オルークや山本精一、ビッケら、腕っこきかつひとクセもふたクセもあるなミュージシャンたちが、影をしのばせるよう音を添えていく。
一転して、「青年は荒野をめざす」で力強くパンキッシュに。最後に「夢で逢いましょう」と囁かれてしまえば、ワタシはPhewの唄声にまた「逢い」たくなる…。
万人に薦められる作品ではないが、抗し難い魅力を放つ異形の逸品。

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