【演芸】浪曲定席木馬亭 ― 2011/06/04

梅雨の晴れ間の浅草。観光やら散策を満喫する人波を抜けて、木馬亭に着いたときには、ちょうど神田陽司師匠による講談が始まっていた。
この人のプロフィールを読むと早稲田の一文を出て、あの「シティロード」編集部に入り演劇を担当、さらに副編集長まで務めていたというのだから驚く。
そうしたインテリ資質(?)を生かして、「レポート講談」なる新作を手がけているようで、本高座での「はやぶさ」を少年忍者に見立ての“サイエンス・ドキュメンタリー講談”も、そうした流れから創作されたものだろうか。
しかしながら、その着想や話の構成は面白いと思えるものの、ケレンというかキレというかが、もう一つ…。
もっともワタシの講談“生”見聞は、天才肌の神田山陽(3代目)、正統派ともいうべき宝井琴柳、中堅として安定感のある宝井琴調…の各師匠とわずかな体験なので、比較検討しようもないのだが。
続く、港家小柳師匠はハウリン・ウルフばりに唸るベテランの女流浪曲師だが、いかんせんお年のせいか(失礼)音程が不安定。
一方、三門柳師匠は高音を生かしての女性らしい(?)美声を聴かせる。ときとして“小唄”を聴いているような風情があり、さすが美声で鳴らした三門博門下。長谷川伸の名作「瞼の母」で座を沸かせ、トリの国本武春氏につなぐ。
“三味線ロック”などの活動で知られる国本氏の生ライブに触れるのもじつは初めて。若い女性(?)の固定客もついているようで、客席から黄色い声援が飛ぶ。
忠臣蔵「赤埴源蔵 徳利の別れ」を演ったが、これはもう安心して聴いていられる極上のパフォーマンス。迫力の唸りはもちろん、細かいビブラートを刻みながらケレン味たっぷりに聴かせる、聴かせる。情と笑いを交えた芝居でも、観客を見事に引き寄せて大団円。
もちろん浪曲界の現況などワタシごときには毛頭掴みようがないが、中堅からベテランの域に入り、実力もある人気者という国本師匠の立ち位置は、落語界の柳家喬太郎師匠のような存在なのかもしれない。
しかしながら、現在の落語界の興隆は喬太郎師匠に継ぐ中堅・若手の人材がワンサといる点にある。
はたして浪曲界はどのような状況下にあるのか。
Wilkiでチェックすると関東だけでも60名を超える浪曲師が散見できるのだが…。
モンガイカンであるワタシには、「浪曲の未来」を判断できずにいる。
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