【演芸】てなもんや浪漫バラエティー2011/05/29

てなもんや浪漫バラエティー
台風襲来で土砂降りのなか、浅草・木馬亭へ。「てなもんや浪漫バラエティー」と題された浪曲、音曲漫才、浪曲漫談のオムニバスショーを楽しむ(5月29日)。

聖書を脇に抱えた神父姿で登場した浪曲漫談のイエス玉川は、以前テレビでも観た記憶があるが、司会の澤田隆治氏(メディア・プロデューサー)によれば「テレビでは出来ないネタばかり」とのこと。
たしかに毒舌が持ち味だけあってそれも頷けるのだが、どうも過去に“売れた”経験があるから、グチっぽさが仇になってどうも乗り切れない。それが芸風なのか、それとも客の少なさのせいか…?

「宮川左近ショー」の三味線弾きとして活躍した暁照夫が、弟子の光夫と組んでの音曲漫才は、客席から左近ショーの記憶を引きずりだしながらの楽しいステージ。
上方と東京の気質を比べながら、ひとしきりくっちゃべった後、待ってましたの音曲に突入。左近ショーでも“売り”だった三味線早弾きは顕在で、「なんでこんなにうまいんやろ」と自惚れるギャグも、嬉しい決めゼリフ。
さすがに、お年のせいか(失礼)危なかっしい音程はご愛敬だが、とにかく左近ショウを追想できる上方の円熟芸に触れられたのは収穫。

圧巻だったのは浪曲の三原佐知子師匠。
じつは浪曲を“生”で聴くのは初めてだったのだが、その声量といい、声色・ヴォーカルコントロールといい、ケレンといい、浪曲という芸能の底力に圧倒された。

とにかくその声・節回しが気持ちイイ。ゾクゾクとする。
これはヌスラット・ファテ・アリ・ハーンカッワリー仏教声明に通じる身体に直接響くようにな快感だ。

浪曲(浪花節)という芸能は、明治期から戦前まで一斉を風靡した。
ラジオなどによって全国で愛聴され、当時の浪曲師は大変な人気だったという。なぜそれほどまでに、単純なこの語りと声の芸能が大きな人気を博したのか?

浪曲は今回確認できたように、じつに肉感的な芸能だ。
その語りと声が、心身に染みわたり、癒しや活力を与えてくれる…。
そこにワタシは、昨今の流行りのスピリチュアリズムや“癒し”に似たものを感じる。
だからこそ、浪曲師はヒーラーであり、小屋掛けは庶民にとってのホットスポットだったのではないだうろか?
そんな妄想を抱いてしまうほど、“生”の浪曲はパワーに溢れていた。

最後は出演者総出による歌謡ショーで、ここでも佐知子師匠は「無法松の一生」と「ろうきょく炭坑節」を唸り、さすがの貫祿を魅せた。

それにしても大雨とはいえ客席は寂しく、こんな豊熟な芸が安価で観賞できるのにじつにもったいない…。7月には、浪曲河内音頭を中心とした第二回が企画されているようで、こちらも期待したい。

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