【CD】松任谷由実/Road Show ― 2011/05/25
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4月初頭のリリースなので、「新譜」として紹介するには遅きに失した感もあるが、これが聴き込むほどに松任谷由実の衰えぬ才能が伝わってくる傑作アルバムになっている。
なにしろ近年のユーミンの充実ぶりは目ざましく、『A GIRL IN SUMMER』 (2006)、『そしてもう一度夢見るだろう』 (2009)と充実作を連発してきたが、本作はそうした成果をさらにもう一つ上の高みへと押し上げたかのように結実。
ユーミンが再び、何度目か絶頂期を迎えたような輝きを放っている。
本作のコンセプトは“映画”。
タイトルそのままにに、1曲1曲がまるで映画ワンシーンのように、さまざまな情景を描いて魅せる。
いきなり映画のエンディング・シーンを思わせる①「ひとつの恋が終るとき」の力強いチューンで幕を開けたユーミン・シアターは、②は意表をつくレゲエ・ナンバー「Mysterious Flower」ですでにクライマックス。
転調をうまく使って印象に残るフックつくる④「今すぐレイチェル」もユーミンならでは。センチメントな季節感の表出もまたユーミンの真骨頂⑤「夏は過ぎてゆき」、そして「真夏の夜の夢」の続編ともいえるラテン・ナンバー⑥「太陽と黒いバラ」など、きらびやかなユーミン・ワールドが堪能できる。
⑪「ダンスのように抱き寄せたい」↓
ユーミンの詩世界と歌唱を支えるサウンドも過不足なく見事で、とりわけ本作で耳に残るのは、心のひだに染み込むようなギターだ。
丁寧に練られた一つひとつの音で聴く者を安心してその世界に委ねさせる功績は、夫君の松任谷正隆氏の力にも依るだろう。
そして、本作からワタシが感じるのは、ユーミンのパッケージ・メディアに賭した覚悟、CDアルバムで勝負する、という決意だ。
アルバム・アーティストとして日本の音楽界をリードしてきた、日本のポピュラー音楽の裾野の広げてきたという自負と気概こそが、本作を傑作たらしめ、また彼女の創作意欲を支えているような気がしてならない。
彼女は、ニッポンの音楽文化のために闘うジャンヌ・ダルクなのだ。
◆『松任谷由実/Road Show』の参考レビュー一覧(*タイトル文責は森口)
「ユーミンの楽曲はまさに数分で終わる短編映画」--yorimo(大野宏氏)
「全曲がメロディアスでカラフル」--Lonesome-happy-days
「映像的な要素が満載で、熟練の技が光り輝く」--共同通信(つのはず誠氏)
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