【アート】シュールレアリスム展2011/05/04

シュールレアリスム展
当初5月9日までの開催と聞いていたので、新規事業準備で超多忙の日々の中で「シュールレアリスム展」になんとか駆け込む(5月4日・国立新美術館)。

じつはつい先日知ったのだが、英『Art News Paper』によると、日本は6年連続で美術鑑賞人口世界一の国だという。ほぉ、という感じだが、本展に足を運び、改めてその美術熱を目の当たりにした。

チケット売り場こそそう混雑ぶりは見られなかったものの、展覧会入り口は人が群れを成し、会場に足を踏み入れればもう列をなして作品に群がるという様相。へぇー、こんな訳のわからない前衛(失礼)に、なんでこんなに人だかりが出来るの!? という感慨も。

この熱気は、上野で観た若忠展以来か…。

その人気ぶりを分析できるほど、ワタシは美術情報通ではないが、近年のアート・ブームともいうべきモダン・アートに対する熱い視線は、各種の展覧会でも肌身で感じていた。

天気にも恵まれたGW最中、震災復興のために街に出よう!というかけ声にも背中を押されたのか、近年のアート界の活況ぶりを象徴するかのような催しとなっているようだ。

さて、その作品群だがパリ、ポンピドゥセンター所蔵作品から、約170点を一挙に公開したというだけあって、量的にも質的にもたしかにシュールレアリスムの歴史とその世界が俯瞰できる展示になっている。

切り取られた顔が解け出したルネ・マグリッドの「秘密の分身」、白日夢のようなソフティケイトされたジョアン・ミロの「シェスタ」、ポップでキュートなマックス・エルンストの「ユビュ肯定」、不思議な浮遊感を漂わせるルネ・マグリッドの「夏の行進」といった多様な作品たちが、ワタシの脳内を心地よく刺激する。

絵画だけではなく、マルセル・デュシャンの「瓶掛け」、アルベルト・ジャコメッティの「咽を切られた女」、マックス・エルンストの「クイーンとともにゲームをするキング」、ヴィクトル・ブローネルの「狼・テーブル」といった造形作品にも目を奪われる。

ワタシ的には、シュール化した“巨神兵”のようなアンドレ・マッソンの 「迷宮」や、メタル&トーイで不思議な静寂感を紡ぎ出すイヴ・タンギーの「岩の窓のある宮殿」など、あまり馴染みなかった作家・作品に触れられたことも収穫だった。

一方で、ワタシをシュールの世界に導いたサルバドール・ダリの作品が2点と、ちと寂しい。あのシュールレアリスムを体現したかのような圧倒的な存在感、ギミックに溢れた世界観を妄想する御大の、その魅力のごく一端しかここでは堪能できない。

もちろんそれは本展の企画意図とは外れるし、そうした“目玉商品”がなくても、現在に至るまで、世界中のさまざまな分野に影響を与えたこの震撼すべきこの“アート・ムーブメント”を体感できるイベントになっていると思う(5月15日まで会期延長)。

「シュールレアリスム展」の参考レヴュー一覧(*タイトル文責は森口)
「シュルレアリスムの影響とその意義を明らかにしようとするもの」-- 弐代目・青い日記帳
「なぜか癒される『シュルレアリスム展』」--続・カクレマショウ
「反合理主義、シュールに共感」--asahi.com(西田健作氏)
「近代と現代とをつなぐ重要なジョイント」--PEELER(菅原義之氏)

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