【CD】SPECIAL OTHERS/THE GUIDE2010/12/20

THE GUIDETHE GUIDE
SPECIAL OTHERS

ビクターエンタテインメント 2010-10-06
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ラジオのOAでたまたま耳にして以来、気になっていた若手4人組ジャム・バンド、通称“スペアザ”ことSPECIAL OTHERSの新作『THE GUIDE』。

その躍動感溢れるサウンドに惹かれて、11月に行われた東京ライブに足を運ぼうとすれど、すでにチケットは完売。その人気の高さに驚くも、その後MUSIC ON! TVで放映されたライブ映像を観ても、そのライブ・バンドとして発する“オーラ”に改めて感じ入った。

課題は、そのライブの“オーラ”をスタジオ録音のCDにどうパッケージするかだろう。
ジャム・バンドに限らず、ライブでその実力を発揮するバンドの多くが、どのようにしてその高揚感をスタジオ作に押し込めるか、ずっと頭を悩ませてきた問題に違いない。
かのザ・フーにしても、『ライヴ・アット・リーズ』 を世に送りだすまで、その問題と闘ってきたというし、未だ解決できえないバンドもあまたあることだろう。
渾身の3枚組『THE LIVE』 をリリースしたブルース・スプリングスティーンにしても、その高揚感・疾走感はブートレッグ盤にも及ばないのだから。

代表的なジャム・バンドだったフィッシュにしても、『A Live One』 でその素晴らしいライブの片鱗は魅せるものの、やはりあの昇天するかのような“カオス”には及ばない。それをわかってか、彼らのスタジオ盤は構成美・構築美を基調にしたクールな仕上がりで、ライブとの差別化を図っていたように見える。

さて、そしてスペアザの『THE GUIDE』だが、工夫を凝らした多彩なナンバーが収められている。
冒頭の①「Wait for The Sun」から楽器たちが“歌い”、②「It’s my house 」へとキャッチーなメロディーが続く。③「Parabola」でオーガニックな空気をふり撒き、④「The Guide」から⑤「luster」へと高揚感溢れるハードなナンバーが続く。⑥「Draft」では一転してレゲエ、⑦「Tomorrow」ではダブを取り入れる。
⑨「Go home」で再び軽快でダンシーなナンバー、そして⑩「ido」でジャズっぼく〆る。
…というように、全体を通してオーガニック、知的な雰囲気も漂うメロディアスなインスト・ナンバーが続く。

それで“課題”に戻るのだが、結論から言うとやはりライブで発揮している実力からすれば、まだまだこんなものではないだろう…という印象を持った。
それをどう解決するのかその具体策はワタシには提言できないが、同じジャム・バンドでもまだDACHAMBOあたりのほうがそれに成功しているように聴こえる。

安易にライブ盤を出せばいいという訳ではあるまいが、スペアザの最良部分を濃縮した決定盤といえるアルバムをぜひ聴いてみたい。

◆『SPECIAL OTHERS/THE GUIDE』の参考レビュー一覧
Skream!ディスクレビュー(花塚 寿美礼氏)
Kanagawa Holiday's

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