【映画】マイケル・ジャクソン THIS IS IT2010/12/25

『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』
遅まきながら、『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』(2009年・監督:ケニー・オルテガ)をテレビ放映で鑑賞。

本作をひとことで言うならば、“マイケル・ジャクソンのつくり方”、メイキング・オブ・MJステージを描いたドキュメンタリーといえる。

というのも、本作でのステージ・シーンはすべてリハーサル映像・音声であって、“本番”の記録はジャクソン5時代などの“過去”のものしか使われていない。
つまり天才パーフォーマーであるマイケル・ジャクソンが、あまたのスタッフを率いて、どのようにそのステージ・パフォーマンスをつくり上げていくのか、それを克明に繙(ひもと)いた映画なのだ。

冒頭、マイケルの急逝によって幻となったロンドン公演「THIS IS IT」に向けて、ダンサーたちのオーディション風景が現れる。そこからカメラは一気にリハーサル風景へとなだれ込み、あとはひたすらマイケルの一挙手一投足が映し出される。
例えば、オープニングの「Wanna Be Startin' Somethin' 」(だったと思うが…)では、4種の衣装をまとったマイケルが歌い、踊る様が繋ぎ合わされている。つまり、この曲の衣装だけで、4パターンの衣装案があったということであり、それだけ細かく演出案を重ねていることがわかる。

一般的に、アーティストがコンサート・ステージにどの程度関与しているのかワタシには比較する見聞がないのだが、本作を観るといかにマイケルがステージ全般の演出・構成・音楽・映像すべてに関わっているかがわかる。

先のダンサー・オーディションの審査にしても然り。バンド・メンバーに演奏の強弱を細かく指示する様はまさにコンダクターだし、ステージの立ち位置やきっかけまでにまでアイデアを提供する。
しかも、アイデアを出した後に、すぐさま自身が魅力的な振り付けをして踊ってみせるのだから、現場ではいかにも説得力があるやに違いない。
コンサート中に流される映像作品のチェックでも、監督と一緒になって嬉々として役者の動きに反応する。
その姿は、キング・オブ・ポップスというよりもキング・オブ・パーフォーマー…。
最強の現場監督であり、演出家であり、そしてパーフォーマー。ここでのマイケルは、それらすべてを一人でやってのけているかのように見える。

終盤の「Billie Jean 」では、マイケルの素晴らしい即興ダンスにスタッフたちが歓喜する姿が映し出される。その高揚感に溢れる現場に、ワタシたちもそこに居合わせたかのような錯覚に陥り、この稀代のパーフォーマーの早逝に改めて慚愧(ざんき)の念を抱く。

巨大なステージ、華麗ですご腕のバック・バンド、壮観たるダンサーたち、「火のチェイス」に「3Dスリラー」映像と、この「THIS IS IT」コンサートに用意された演出やスタッフ陣を絵巻のように見せられて、改めてこの豪華なエンターテイメント・ショーの壮大さがわかるというもの。

1992年の東京公演(Dangerous World Tour)に足を運んだものの、じつはほとんどその印象が残っていないワタシだが、たしかに本作は、この「THIS IS IT」は観てみたいと思わせるオーラを感じさせる“未完の予告編”となっている。

さらに本作の成功によって、この“ステージのメイキング”という手法は、今後の音楽ソフトの鉱脈になるのではないかという感すら抱かせる。
すでに、過去の“名盤のつくり方”を振り返ったドキュメンタリーDVD がシリーズ化されているが、同じように“伝説のステージ”のメイキング映像を編み直すことで、アーティストやその音楽の魅力にさらに光を当てることができるのではないだろうか?

もちろんその前提として、リハーサル映像の記録と、マイケルに比するアーティスト・パワーが求められることは言うまでもないが…。

◆『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』の参考レビュー一覧
超映画批評(前田有一氏)
映画.com(清水節氏)
映画のメモ帳+α
映画通信シネマッシモ(渡まち子氏)
映画ジャッジ!(福本次郎氏)
LOVE Cinemas 調布
戦略財務の社長・実島誠のブログ
映画瓦版
堀江貴文オフィシャルブログ

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