【ダンス】加藤みや子ダンススペース「SAND TOPOS」2010/12/12

加藤みや子ダンススペース「SAND TOPOS」
“ブラジル凱旋公演”と謳われた「加藤みや子ダンススペース」による笠井叡伊藤キム、加藤各氏共演の「SAND TOPOS」を観る(新国立劇場 小劇場・12月11日)。

豊かな響きで奏でられるチェロ(林峰男)に耳を奪われていると、やがて暗がりのステージ奥から逆光に照らし出され、ゆっくりと床から這い出してきた3人のダンサー(笠井端丈 岩渕貞太 畦地亜耶加)。
まるでカフカの『変身』をこの目で見るかのように、“虫”のようにうごめく3体は、やがて天上に吊るされたシャンデリアのような器からこぼれ落ちる砂のステージへと進む。

そして、ステージに奥にしつらわれた調度品のような椅子とテーブルを、この日の主役たち(笠井、伊藤、加藤)がやおら囲み、なにやら密談の風。
彼、彼女たちが、いったい何者なのか、公演パンフには“家族”と記されているが、怪しげな“賊”か、何かを企てをたくらむ輩のようにも見える。

そしてまた、先に現れた若き3人のダンサーは、砂の“化身”なのか、“精霊”なのか、はたまた“悪霊”なのか、これまた判然としない…。
ここは砂上の楼閣か、ここで目にするものは蜃気楼か、幻影なのか…。

こうして舞台は、謎めいた空気を漂うわせながら始まる。
ワタシの興味は当然のことながら、この日の主役たちの“絡み”なのだが、3氏ともソロ・ダンサーとしてすでにその名を馳せているだけに、序盤はまるでオムニバス公演のようなスタイルで、各自がソロで見せ場をつくる。

しかし、やがて3氏が“絡み”だすと、舞台の妖気がぐっと濃厚になる。
日舞やフラメンコのような動きも魅せる加藤に、伊藤が舞踏出身らしい動きでそれに応える。続く、長い手足を活かしフラメンコ・ダンサーのように舞う笠井と加藤の絡みも妖艶であったが、笠井×伊藤が組み合わさると、さらに色気が放たれる。
男色さながらにしなう二人の後方で、これまた妖気を漂わせながら、しゃなりしゃなりと歩き去る加藤を借景としたこの場面が、ワタシは最も印象に残った。

最後は、砂塵舞うステージに、6人のダンサーが身をくねらせながら走り、舞い、踊り、やがてそれは、まるで砂上の白昼夢であったかのように、消えていく…。

ワタシは、ダンスについて語れる資質は持ち合わせていないので、この異才たちが今回の“ダンス・セッション”でどの程度、その実力を出しきったのかはわからない。また、どこまで“ダンス・ケミストリー”が創世されたのかも判ずることができないのだが、身体のみで、無言の“物語”を紡ぐというダンスならではの表現は、堪能することができた。

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