【映画】インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国2010/10/25

『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』
『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』
(2008年・監督:ステーヴン・スピルバーグ)
スピルバーグとジョージ・ルーカスがタッグを組むインディ・ジョーンズ・シリーズの第4作。本作は舞台を第二次世界大戦後に移し、インディの“家族”と共に、冷戦時代よろしくソビエト軍と謎の力を持つクリスタルスカル(水晶の頭蓋骨)を争奪戦を繰り広げるという物語なのだが…。

インディ・ジョーンズが登場した80年代当初、すでに暴力と頽廃あふれるニューシネマに疲れ気味だったワタシたちに、そのB級感あふれる物語はじつに新鮮に写った。映画オタクの二人がかつて自分たちが夢中になっていた冒険活劇映画の面白さを、現代に蘇らせたのがインディ・ジョーンズという“新しい物語”だった。
インディが過去を舞台にした冒険譚であるとすれば、ルーカスは未来を舞台にした冒険活劇『スター・ウォーズ』を創りあげ、さらにその系譜は、タランティーノロバート・ロドリゲス、宮崎駿の諸作へと連なった。

それから、およそ30年が経過して本作がつくられ、その間にまるでインディのスピンオフ企画のような『ロマンシング・ストーン』『ハムナプトラ』シリーズが生れた。 そして、今ワタシたちが目にするのは、まるでそれらと区別がつかなくなった無残なインディの姿だ。異なるのはブランディングされたインディがそこに居るかどうかの差だけ。

かつてはそのまがい物感すら新鮮に感じた洞窟の造形やミイラ、財宝などの美術は新味なく、ソ連軍とのカーチェイスは、あの名高いトロッコ・シーンの焼き直しでセルフパロディとしか言いようがない。前作から繋がる「家族」の物語というのも、まるで『スター・ウォーズ』のパクリ。さりとて、ギリシャ悲劇にも例えられたそれとは似て否なる、単なる物語の延命にしか思えない。さらに、スピルバーグ・マジックを不朽にしたあの名作『E.T.』に泥を塗るかのような結末には唖然とした…。

スピルバーグの“映画への偏愛”は何処へ行ってっしまったのか? 思い返してみればスピルバーグは、1998年の『プライベート・ライアン』以来、傑作らしい傑作はつくっていない。しかしながら、本作は全米で3億ドル以上を稼ぎだし、日本でも08年の洋画トップの稼ぎ頭だった。
スピルバーグの時代は既に終わっているのに、こうしたブランド・イメージがその終焉を見えなくさせているだけなのか、あるいはスピルバーグによって映画の面白さを再発見したワタシたちがそれを認めたくないのか…。いずれにせよ第5作はもうつくらないほうがいい。

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