【ダンス】KENTARO!!「僕はまた今日も 未完成の音楽で唄う」2010/10/20

KENTARO!!「僕はまた今日も 未完成の音楽で唄う」
KENTARO!!のダンス公演「僕はまた今日も 未完成の音楽で唄う」(10月19日・駒場アゴラ劇場)に足を運ぶ。

KENTARO!!氏のダンスを観るのは初めて。というか、DJ でも料理研究家でもないKENTARO(だから!!が付いている?)を知ったのはつい最近のこと。したがってコンテンポラリー・ダンス界で同氏がどのような評価を得ているのかも皆目見当がつかないが、ヒップホップの世界から出てきた人らしく、そういった出自は今のダンス界ではかなり変わり種のようだ。

で、そうした若い感性が持ち味なのか、会場に入るとまず目につくのが、平場のステージ脇に設けられたDJブース。そこで、DJをしていたのがKENTARO!!氏だと気づいたのは、開演間際。「ビールはいかがですかぁ~?」と、客席に向かってのほほんと“売り子”する姿も含めてすでにパフォーマンス!?
そして、Tシャツにパーカー、チノパンという出で立ちのまま、ふらふらっとステージ中央ににじり寄り、自然の流れに身をまかせるようにゆっくりと踊り始める…。
なるほど氏のダンスはヒップホップを基調にした踊りなのだろうが、やたらテクニックをひけらすこともなく、どこか柔らかな印象。
振り付けはもちろん、音楽も自作しており、曲も詞もそして歌唱も本人のもの。それだけに、音楽とダンスの波長はピタリ。練習・鍛練だけで生れない、気持ちいいグルーヴ感を醸し出す。

そこに現出するのは、どこか日常感あふれる空間…。
ヒップホップダンスにありがちな、観客を威圧するようなマッチョな押しがないからか、あるいは自作の詞が導く“セツナさ”からか、まるで氏のステージからは押しつけがましさが感じられない。
それはまるで、宅録派ならぬ“宅演派ダンス”と名付けたくなるような世界…。ダンス好きなごくフツーの青年が、公園や路上で、あるいは彼の自室で踊る様を、ワタシたちが“目撃”させてもらった…かのような体験だった。

で、ワタシなりの解釈だが、KENTARO!!氏の踊りをスロー再生したら、きっとほとんどの“動き”は、ワタシたちが日常生活で行っている動作に近いものなのではないか? 跳んだり、しゃがんだり、ねじったり、寝たり…。もっともそれはワタシたちが、何十年かの人生をかけて経験する“動き”だ。つまり、人が一生のうちに、きっとする(した)であろう“動き”を、高度な技術でなめらかに組み立て、わずかな時間に高速凝縮して、魅せる。
だからこそワタシたちは、その日常性あふれる空間を共有し、セツナさを含んだ氏のダンスに共感を持つことができるのではないだろうか?
そんなことを想いながらも、ワタシの目はずっとステージに釘付けのままだったのだが…。(公演は24日まで)

*参考までに、KENTARO!!氏のPV映像はこちら↓

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