【本】ルポ 在日外国人 ― 2010/10/22
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ワタシも古くは、インタビュー集『「在日」外国人』
もっともひと口に外国人問題といっても、オールドカマー/ニューカマー、国籍、差別、教育、労働、DV、参政権に至るまで多岐にわたる。間口が広いだけに、本書もそれらの問題に対してはほんの入り口程度の解説に終始し、一つ一つの問題に対するアプローチにはやや物足りなさも残る。が、すでにそうした個々の問題についての研究書やルポもさまざま刊行されている。本書の役割は、まだまだ知られざる(関心が薄い)それらの問題への的確なナビなのだろう。
むしろ、著書が最も記したかったのは、そうした「問題」の「解決」策ではないか。最終(第5)章の「多民族多文化共生に向けて」がそれを示している。そこで著者が希望的な例として挙げているのが、多民族多文化共生政策にカジをきったカナダだ。
「私はかつて、在日韓国・朝鮮人の未来を考えれば、いずれ日本社会に同化する運命ではないかという疑問に対する明確な解答を持ち合わせていなかった。しかしカナダを訪問してまたに目からウロコが落ちた思いがした」とする著者。だが、カナダでの成功例をそのまま日本にあてはめるのは難しいだろう。
かつて福祉先進国である北欧を訪れた多くの人が、「目からウロコが落ちした」とし、その施策を日本に導入しようとしたが、いまだ北欧並みの福祉にほど遠い。同じように、多民族多文化共生にほど遠い日本社会をいかに変えていくか。その具体的な道筋は本書ではまだ見えてこない。
「グラウンドデザインについての議論の積み重ね」をするためにも、問題解決への具体的な施策・実例を扱った取材や記録の積み重ねが今後ますます必要とされていくだろう。
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