【本】学校の「空気」 [若者の気分] ― 2011/05/23
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著者は若者の就業と労働実態を鋭く分析し、若者論の新たな地平を切り拓いた本田由紀氏。よって、本書にも大いなる期待を寄せたのだが…。
学力、友だち、教師、将来という四つのテーマから学校の「空気」を探るという意欲的な試みだが、その基調としているのが筆者が属する東京大学教育学部の「教育社会学調査実習」での調査で、神奈川県内の公立中学校23校の2年生2874名から得られたものであるという(調査期間は2009年9月~2010年1月)。
したがって本書はその調査結果に基づいて、本田氏が分析・コメントを加えていくという体裁をとっている。それがどうももどかしい…。
今回はデータ主義に徹しているのか、本田氏の分析にもいつものような切れ味が感じられず、まるで新聞の解説記事を読んでいるかのよう。
ボリューム的にも120頁足らずで、どうももの足りなさが残る。
もちろん中学生たちの間で一緒に行動する友だちが決まってしまう「鳥宇宙化」が進行していることや、クラス内での人気によってその「地位」が高位・中位・低位・いじめれらなど、今までも指摘されてきたことが、データでも裏付けられるなど、興味深く読める部分もある。
また、新聞の投稿記事や『桐島、部活やめるってよ』
それでも、いつもの本田節が聞こえてこない。
ここは、データを受けて本田氏と関係識者、あるいは当事者である中学生や教師との対論を付すなど、本書に“厚み”を加えるなどの編集力(ヂカラ)があってもよかったのではないだろうか。
むしろ本書巻末に付された参考ブックリストに本田氏の知見をみることができ、今の「学校の空気」を知るうえでの格好の読書ガイドになっているかと思う。
まあ、それだけでも本書を手にとる意味はあると思うのだが、期待が大きかっただけにやや肩すかし。
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