最近観た映画2010/08/04

『ハート・ロッカー』(2008年・監督:キャスリン・ビグロー)
順当なら本作がゴールデングローブで、旦那の作品はやっぱオスカーでしょ!たしかにイラク+爆弾処理+久蔵(七人の侍)+ダーティハリー(笑)といった題材は斬新だし、爆弾処理や戦闘シーンもよく撮っていると思うが、どーもそれだけでドラマとしての深みに欠けるというか…演出の妙味に欠けるというか…。

『グレン・ミラー物語』(1954年・監督:アンソニー・マン)
独特の甘いサウンドを生み出したビッグバンド・リーダー、グレン・ミラーの半生を描いた作品だが、こちらは志願して兵役に就き、軍隊でビッグバンドを組織して各地を慰問して廻る様なども描かれ「戦争」に対してあくまでも肯定的。主演のジェームズ・スチュアートも含めて、みな良きアメリカ人ってか…。夫婦や人間関係の描き方も含めて、よくできたドラマだと思うが、そうした時代性も感じてしまう。

『鳶と鷹』(1957年・監督:井上梅次)
『嵐を呼ぶ男』で石原裕次郎をやさぐれ兄ちゃんにイキイキと描いてみせた井上梅次監督が、同じく裕次郎を主演に据え、恋とサスペンスを絡めた海洋アクションドラマに仕上げた快作。若き日の三国連太郎、浅丘ルミ子、西村晃、長門裕之と脇役陣もみな、ひとクセもふたクセもある面々ばかり! 日活海賊ドラマだって!? いや、ホントと観てソンのない作品っすよ。( ^ ^ ;

最近読んだ本2010/08/06

『歴史 上・中・下』(ヘロドトス著・岩波文庫)
「歴史の父」のによる古典的名著。休みを利用して一気に読破。本来なら岩明均の『ヒストリエ』と併せて評すべきだったか(笑)。
ペルシア戦争を軸に、紀元前5世紀のオリエント世界が描かれているのだが、歴史書であるとともにオリエント各地の歴史・風俗・習慣など、さまざまなエピソードが挿入された壮大な地誌であることが、本書の評価を高めているのだろうナ、と思う。
結構、(性風俗とか( ^ ^ ; )下世話なことも書いてあって、読んでいてニヤニヤしたり、ホウホウ…と思ったり。その辺りの読みやすさも人気(?)のヒミツか。
また、本人が膨大なフィールドワーク(取材・調査)を行なっていることも察させれられて、そうした意味でも元祖(?)ノンフィクション文学として読むことができる。
みなさんも時間のある時に、ぜひご一読を。(^_-)

最近読んだコミック2010/08/08

『ナチュン1~6』(都留泰作・講談社)
現役の大学准教授が描いて「モーニング」連載中から話題を呼んでいたSF大作コミック。人工頭脳の研究のために沖縄を訪れた青年を主人公にして、「沖縄×SF=オッサン!?」をキャッチにホッコリとスタートした本作だが、途中からバチカンだの世界征服だのとストーリーが拡がって訳わかんなくなったぁ~(笑)。
しかも次々に場面は転じて、主人公のまわりのドロドロした人間関係だの、恋愛が絡んだりして、かなり振幅の激しい物語です。( ^ ^ ;
ご本人が最終巻(6)で、「ただキャラやシチュエーションで『進んでいるだけの』マンガが好きで、それを今に復活させたい」「藤子・F・不二雄と大友克洋を合わせたようなマンガを理想とした」と記しているように、「下痢を起こしそうな無茶苦茶な組み合わせ」展開ながら、<ネタバレになるが>ラストは何事もなっかったような藤子的な世界…。
それでも、強烈に惹きつけられる作品であることには間違いありまっしぇん!

最近観た映画2010/08/15

『サマーウォーズ』(2009年・監督:細田守)
こ、これは傑作だ!『ぼくのなつやすみ』『トロン』かぁ~!ネット仮想世界での、造形を観よ!『家族ゲーム』は終わった。日本アニメの未来は、ハヤオからマモルに託されたのだ!

『キャピタリズム マネーは踊る』(2009年・監督:マイケル・ムーア)
賞などには恵まれたなかったが、ワタシ的には大国アメリカの医療問題に切り込んだ前作『シッコ』は、ムーア監督の最高作でないかと思ってる。で、本作のテーマはデカイ。何しろ「資本主義」だ! おマエは、マルクスか!とツッコミを入れたくなるが、そこはこの監督がうまくのは、冒頭から昔の映像を映し出して意表をつくなど、「笑いのツボ」を忘れない。
重い(デカイ)テーマで何とか2時間以上、観客を引っぱっていけるのは、何といってもこの人のユーモアセンスに他ならないだろう。
日本国憲法を引き合いに、ええっ、アメリカの労働者には「団結権」がなかったのぉ!?と、驚きの事実も続々…。アンドレ・ザ・ジャイアント、麻生太郎、昭和天皇などが、意外なカメオ(笑)出演もしている。( ^ ^ ;

『カティンの森』(2007年・監督:アイジェイ・ワイダ)
ポーランド本国でも長らく歴史の中に封印されてきたというソ連によるポーランド将校虐殺事件を、父親がまさにこのカティンで虐殺されたというワイダ監督が渾身の思いで描いた歴史劇。どの作品も重苦しすぎて、ワタシ的にはあまり肌の合わないワイダ監督だが( ^ ^ ; 、本作もまたこの歴史的悲劇をこれでもか!という鬼気迫る迫力で追い詰める。
し かし、観終わって感じるのは…ワイダ監督が「今頃になって」本作を撮った意図は、「カティンの森」はいまだにセカイじゅうで行われていないか!?という告 発なのかも。ソ連によるポーランドの植民地化と圧政によって封印されてきたこの惨劇は、イラク、チベット、ビルマetc.…のセカイじゅうの虐げられた民 が置かれた状況と重なりやしまいか…と。

最近読んだ本2010/08/17

『オーディンの鴉』(福田和代著・新潮社)
ネット社会の暗部を描き話題を読んでいるクライシスノベル。やたら唐突に殺人が起こったりありえない人物が犯人扱いされたするストーリーはともかく( ^ ^ ; 、たしかに描かれる個人情報漏洩(それも意図的に)は現実感がある。
けど、クレジットカード、ATM、パスモ、メール、携帯電話のログやGPSから個人を特定をするなんてことは、すでに「公安」がやってるっしょ!(以前、友人の編集者が雑誌の企画で、前述のブツから業者に自分を調査させたら、ものの30分で丸裸にされたことが思い出された) まあ、現代社会に警鐘を鳴らすという意味では、GJ。

『ドキュメントひきこもり 「長期化」と「高年齢化」の実態』
(池上正樹著・宝島新書)
ワタシもかつて「ひきこもり」に関する取材・調査を行っていたことがあるが、当時から懸念化されていた「長期化」「高年齢化」がまさに現実となっていることを示した好著。
それにしても池上サンとここに登場する多くの支援者・家族・行政のスタンスは、ひきこもりを「病理」としてとらえ、支援しようというもの。そうした意味では、かつて精神科医の斎藤環氏がわざわざ「社会的ひきこもり」と命名して、「病理」から引き離そうとした時代から隔世の感も。
では、精神科医や行政の手による具体的な支援方法とは、どんなものなのか? いくつかの具体例は紹介されているが、国や自治体がどんな支援をしていくのか、今後も池上サンに「チェック」の意味も含めて追ってほしい。

『AERA MOVIE ニッポンの映画監督』(AERA MOOK・朝日新聞出版)
現在の「邦画ブーム」を支える若手・中堅監督をズラリと紹介したムック本。それぞれの作家の作品を、作風や影響力など含めて丁寧に解説。近年まで包括した邦画史なども参考になりました。

最近観た映画2010/08/18

『劔岳 点の記』(2009年・監督:木村大作)
つい先日も遭難騒ぎがあり、改めて険しく危険な山であることが認知された劔岳に、明治時代、測量のために登頂征服を目指した陸軍測量部と彼らを支えた人びとの物語。テイスト的には同年公開された『沈まぬ太陽』にも近いものを感じるが、『沈まぬ~』がテレビサイズでの鑑賞に堪えうるのに対して、本作はスクリーンでぜひ堪能したいまさに映画的な映画。ゆえに評価が高いのも納得。それにしても香川照之はホント、ええ役者になったネェ。(^_-)

『祝(ほうり)の島』(2010年・監督:纐纈あや)
瀬戸内海に浮かぶ山口県の小さな島・祝島で28年間にわたって原発建設反対運動を続けてきた島民たちの姿を追ったドキュメンタリー。手法的には、小川プロと同様に人びとの生活に分け入り、その暮らしぶりを淡々と描き、原発建設という巨大プロジェクトと表裏を成す人びとの豊穣な人生と生活・文化を浮かび上らせるというもの。が、これは製作者側もあえて意図しているのかもしれないが、「島を二分した」という原発推進・容認派の声や言い分をまったくというほど取り上げていないのは、「作品」としてはともかく「報道」という意味ではいかがなものだろうか…。

『ジャガーノート』(1974年・監督:リチャード・レスター)
TSUTAYAの 「発掘良品」 第1弾作品として「珠玉の1本」に選ばれた本作、たしかに面白い!豪華客船に仕掛けられた時限爆弾をめぐるサスペンスだか、船長にオマー・シャリフ、
爆弾処理のプロにリチャード・ハリス、捜査官にアンソニー・ホプキンスと渋スゴの面々!
タイムリミットが迫るなかでの、爆弾処理や犯人とのやりとりなど見どころ満載だが、いわゆるグランホテル形式にしては、もう少し脚本で登場人物の背景や関係性など描いてほしかったところ。だって、何でラストの「決断」がああなのか、説明不足じゃない?( ^ ^ ;

【本】Dragon's Dream:the Roger Dean2010/08/21

YESをはじめ多くのジャケットデザインでワタシら世代を魅了したロジャー・ディーンの画集。画集だから英文(洋書)でもイイやと購入したが、結構文章が多く苦労( ^ ^ ; したが、甲斐あって、なるほど父親の仕事の関係で少年時代を過ごしたキプロスや香港の風光やそこでの体験が彼の画風に影響を与えることがわかり、合点。それにしてもゲームデザインから舞台衣装、ランドスケープとやりたい放題ぶりは、先日展覧会にも足を運んだシャガールにも通じるものが。同じ幻想派だし…。(^_-)

【映画】暁の脱走2010/08/22

『暁の脱走』(1950年・監督:谷口千吉)
上官にひたすら従順な兵士と、慰問歌手との恋と葛藤、そして悲劇を描いた反戦映画。…ということだが、戦線の兵士がやたら牧歌的な一方で、無慈悲な上官の暴走など、どこまで史実に基づいて描いているかわからないが、李香蘭こと山口淑子の堂々とした演技やケレン味あるアクション、場面転換などよくできてるとワタシは思う。黒澤明も谷口監督と共同脚本で名を連ねているし( ^ ^ ; 。また、本作がつくられた当時は戦場に「慰安婦」がいることはあたり前に語られていることから、「慰安婦」問題を検証する意味でも興味深いッス。(もっと上映されてもいいのに…ネ。(^_-) )

【本】NARASIA 日本と東アジアの潮流 これナラ本2010/08/24

『NARASIA 日本と東アジアの潮流 これナラ本』
(日本と東アジアの未来を考える委員会・丸善)
平城遷都1300年記念出版だそうで、松岡正剛氏が編集構成を担当。ていうか、日本の東アジアの歴史上のさまざまな事象を「知的」にシャッフルし、ポップにまとめるといった手法は、まんま工作舎の『遊』のテイストじゃん( ^ ^ ; 。
ほとんどのページに見開きにして、琵琶とウード、山岸涼子の『日出処の天子』と韓国ドラマ『ソドンヨ』を対比させるなどの「編集工学」的な展開が、本書のキモなんだろうな。
日本と東アジアの1300年を5つの時代に区切り、1192~1867を武家とヨーロッパ文化吹き荒れた「風の世」、2002~2009年を予測不可能で互いを観察する「察の世」とするなど・・・フムフムφ(□-□ )。
でも、なんだかジャカジャカし過ぎでもう少し、じっくりと日本・奈良・東アジアの関係をマクロ/ミクロにとらえた「読み物」も読みたかったァ…という物足りなさも。

【CD】劉若英(Rene Liu)/在一起(Together)2010/08/25

台湾出身の女優/シンガー・劉若英(Rene Liu)の新作CD『在一起(Togethr)』を聴く。じつは本作を聴くまで劉の名は知らなかったが 、一聴してファンになりました( ^ ^ ;。まず冒頭のアンジェラ・アキの「手紙」のカバーがイイ(本人より!)。PVも観たがこちらも、泣ける(T_T) 。
そして、②③④⑤…と、とろけるような歌声が続く。
もともとは歌手志望だったが女優としてデビュー後、音楽活動も女優と平行して積極的に取り組むアラフォー、そして飾り気のないナチャラルな歌声、またYOU TUBE画像で確認できる高い人気(とくに女性から)など、(無理に)日本にあてはめると今井美樹的立ち位置か。( ^ ^ ;
プロデューサーとしてワタシが現役のロック・バンドとして一番スキな「五月天」の阿信を名を連ねているのもウレシイ。そして、写真+DVD+箱(紙)ジャケットと、中華/韓国独特(?)の文化ともいえる豪華なつくりに圧倒されマス。(^_-) ニッ。

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