最近読んだ本2010/08/17

『オーディンの鴉』(福田和代著・新潮社)
ネット社会の暗部を描き話題を読んでいるクライシスノベル。やたら唐突に殺人が起こったりありえない人物が犯人扱いされたするストーリーはともかく( ^ ^ ; 、たしかに描かれる個人情報漏洩(それも意図的に)は現実感がある。
けど、クレジットカード、ATM、パスモ、メール、携帯電話のログやGPSから個人を特定をするなんてことは、すでに「公安」がやってるっしょ!(以前、友人の編集者が雑誌の企画で、前述のブツから業者に自分を調査させたら、ものの30分で丸裸にされたことが思い出された) まあ、現代社会に警鐘を鳴らすという意味では、GJ。

『ドキュメントひきこもり 「長期化」と「高年齢化」の実態』
(池上正樹著・宝島新書)
ワタシもかつて「ひきこもり」に関する取材・調査を行っていたことがあるが、当時から懸念化されていた「長期化」「高年齢化」がまさに現実となっていることを示した好著。
それにしても池上サンとここに登場する多くの支援者・家族・行政のスタンスは、ひきこもりを「病理」としてとらえ、支援しようというもの。そうした意味では、かつて精神科医の斎藤環氏がわざわざ「社会的ひきこもり」と命名して、「病理」から引き離そうとした時代から隔世の感も。
では、精神科医や行政の手による具体的な支援方法とは、どんなものなのか? いくつかの具体例は紹介されているが、国や自治体がどんな支援をしていくのか、今後も池上サンに「チェック」の意味も含めて追ってほしい。

『AERA MOVIE ニッポンの映画監督』(AERA MOOK・朝日新聞出版)
現在の「邦画ブーム」を支える若手・中堅監督をズラリと紹介したムック本。それぞれの作家の作品を、作風や影響力など含めて丁寧に解説。近年まで包括した邦画史なども参考になりました。