【映画】ナッシュビル2011/08/27

ナッシュビル
『ナッシュビル』(1975年・監督:ロバート・アルトマン)

ご存じロバート・アルトマン監督の代表作にしてカルトな一作。TV放送もされず、DVD化もされず、ワタシにとっては幻の逸品の一つだったが、ようやく新宿武蔵野館にて観賞(9月2日まで上映中)。

内容については今さら記すまでもないと思うが、カントリー・ミュージックのメッカであるテネシー州ナッシュビルを舞台に、大統領選を絡めながらそこに集った24人の5日間が描かれるというアルトマンお特異の大群像劇。

その特異な手法は、次々に登場するそれら人物たちの行動が観る側の生理を無視するかのように、ブツブツと切り刻んでいくことに象徴される。カットごとの繋ぎ(意味)など無視したかのように、次々と場面が変わり、またその場面も冗長に感じられるかと思えば唐突に終わったりする。…ので、その意図があるのかないのか(当初、ワタシには)まるでわからない。

しかしその映像のカオス(混沌)に身を委ねていると、やがてそのカオスこそアルトマン監督が描きたかった世界であることが見えてくる。1970年代のアメリカ。ベトナム戦争の傷も癒えず、保守と革新の対立、人種差別、暴力も渦巻く混沌たるアメリカ社会を、一個人の生活や行動を紡ぎ合せることで、フォーカスしていくのだ。

まるでアメリカの地方都市で暮らす人々のドキュメンタリーを観せられるているかのような映像断片が、やがて巨大な像を成して、アメリカ社会を映し出していく。
そしてそのカオスは、70年代アメリカを象徴するかのような衝撃のラストによって、見事に収斂されるのだ…。

『ザ・プレーヤー』がアルトマン群像劇の表・エンターテイメント版であるとすれば、本作は裏・ドキュメンタリー版のような趣。公開から年月も経ち、“傑作”とまではいわく言い難いが、まさにカルトな一作として後世に伝えられるべき作品。

『ナッシュビル』の参考レビュー(*タイトル文責は森口)
「アルトマン的な批判精神とシニシズム」--粉川哲夫の「シネマノート」
「アメリカのカオスをみせる群像劇。」--映画ジャッジ(中野豊氏)

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