【アート】ヨコハマトリエンナーレ2011(その2)2011/08/25

ヨコハマトリエンナーレ2011
横浜美術館での展示を眺めた(その1)に続いて、「ヨコハマトリエンナーレ2011」のヨコハマ創造都市センターと日本郵船海岸倉庫会場での展示を観賞(8月20日)。

このほかにも展示会場があるらしいが、この点在する会場を廻ることで、明治期の建築物を数多く残す横浜の町並みそのものが、本展のもう一つの会場であったことに改めて気づかされる。

創造都市センターもまたそうした風格と荘厳さを備えた建物で、楽器(音楽)と植物によるコラボ・インスタレーション「グリーン・ハウス」(ピーター・コフィン)を観た後に、こちらも古色蒼然たる日本郵船ビルに隣接する倉庫会場へと進む。

じつはヨコハマトリエンナーレは初参戦なので、これまでとの比較できないのだが、どこの会場も祝祭感に溢れ、観賞者たちもまた高揚感に包まれていたのが実に印象的。別な言い方をすれば、ライブ感溢れるアート展というべきか。

横浜美術館では日本人作家による作品に目を奪われることが多かったが、この巨大な港湾倉庫を利用した会場では、その場のダイナミズムに同期したかのような、まさにモダンでなトリッキーな作品が並んだ。

エントランスで出迎えるのは、どこかユーモラスな巨大な粘土のカバ(イェッペ・ハイン=上・画像)。2F展示で一際目を引くインド人作家リナ・バネルジーによるインスタレーション「お前を捕まえてやるよ、おじょうちゃん!」は、ファンタジックな世界にもどこか東洋・仏教的な極楽浄土感が漂うのはその出自ゆえか。

しかし、ワタシが大いに注目したのはヘンリック・ホンカーソンによる植物インスタレーションだ。2Fの「根のついた木」では、フロアから生える数本の木が置かれているだけで、これはデュシャンの「泉」の植物版パロディかと思いきや…それが3Fではその木の上部が床を突き破り、さらにその横では巨大なプランター群が水平に置かれた作品「倒れた森」が多を圧倒する…。
環境破壊/自然保護という強烈なメッセージ(?)を含んだアイロニカルでトリッキーな、いかにも現代アートを象徴するかのような作品。

デュシャンといえば、人気ゲームソフト『ぼくの夏休み』に出てくるようなやや懐かしい日常品を並べた泉太郎の作品には、そこからそれらの品々を使い、生活していた人の気配が立ち上がってくるような面白さがあった。

ほかにもこの会場では映像作品に目を惹かれるものが多く、死海に浮かぶスイカに囲まれた作家自身の裸身が美しくも、幻想的に流れていく様を写しとった「死視」(シガリット・ランダウ)。そして『スター・ウォーズ』よろしく宇宙の果てから、スケルトン状の果物が次々と浮遊してくるピーター・コフィンの作品(無題)は、3Dで観たくなるような不思議な映像だ。

観賞を終え、1Fのカフェ奥のドアから外で出てみれば、そこには横浜の波止場が…。なんとも贅沢な借景であり、この心憎い演出がまた、冒頭で記した祝祭感と高揚感につながっているかもしれないと感じた今回のトリエンナーレ体験だった。

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