最近読んだ本2010/06/16

『累犯障害者』(山本譲司著・新潮文庫)
ムショ暮らしを経験した元国会議員が、ムショ内で多くの障がい者と出会い衝撃を受けたことは『獄窓記』ですでに触れていたが、本書ではさらにその問題を解明すべく「障がい者が起こした事件」の真相を追及していく一級のノンフィクション。風俗・売春産業に流れる知的障がい者の実態など、まさに「社会から隠された闇」を緻密に描く。この人、文章もうまい。

『外国人が見た近世日本 日本人再発見』(竹内誠監修・角川文芸出版)
本書を読むと近世日本にはさまざまな外国人が来訪し、またそれを記録していたことがわかる。それゆえに各人の「日本人」のとらえ方に相反する部分もあるが、総じて我々の祖先を肯定的にとらえているが印象的。網野善彦史観を補強するかのように、江戸~明治庶民の多彩な暮らしぶりが描かれている。

『アラン・ローマックス選集 アメリカン・ルーツミュージックの探究1934-1997』
(ロナルド・D・コーエン著・みすず書房)
表題のとおりローマックスがアメリカの民謡・伝承歌の研究者であることは知っていたが、本書を読むとはその探究心は、「アメリカ」にとどまらず「世界」に拡がっていたことがわかる。そういう意味では、ローマックスこそ、世界の民俗音楽・大衆音楽を俯瞰して観るというワールド・ミュージック研究の先駆者としてとらえることができる。

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