【ダンス】珍しいキノコ舞踊団「私が踊るとき」2010/01/23

昨夜(1月22日)はセタパブ(三軒茶屋)でダンス公演を観る。
はっきり言ってモダン・ダンスは門外漢だが、以前は大駱駝艦はじめ舞踏や最近ではニブロールとか黒田育世(BATIK)とかいくつかは観ている。で、ずっと前から観たかった(だって名前からして楽しそうじゃん!)女性だけのダンス・ユニット「珍しいキノコ舞踊団」の新作公演に足を運ぶ。
EW&Fの「FANTASY」で幕を明け、「FLY ME TO THE MOON」「港の見える丘」etc.はては新内(?)まで、秀逸な選曲で、工夫を凝らした設定・振り付け・美術・映像で飽きさせない。なかでも、アルプスの牧場を背景に二人の女性が恋愛観を(身体で!)語り合う場面と、ローリングストーンズの「MISS YOU」をバックに3人が身体を重ねながら踊るシーンが印象に残った。彼女たちのダンスが上手いのかどうーなのか技術的なことはよーわからんが、とにかく6人のダンサーがほぼ出ずっぱりで、あの手この手を変えて観客を楽しませようとする姿勢には拍手。

【演劇】阿佐ヶ谷スパイダース2010/01/27

長塚圭史率いる「阿佐ヶ谷スパイダース」を昨夜、初観劇。
時間軸をずらし重層的に観せる手法は映画などでもよくあるけど、舞台をうまく使うことで空間をも重層的に展開していく演出に、ほぉ上手いなぁ…と思ったんだけど次第に迷宮に入り込むように、登場人物の過去と記憶こんがらがって…ああ、眠い( ^ ^ ; 。途中までは『マルホランド・ドライブ』みたいで面白かったんだけどなぁ。こーいうのが若者に支持されているんでしょうか? NHK「サラリーマンNEO」でのエキセントリックな怪演ぶりで知られる池田鉄洋サンは、改めていい役者だなと思いましたけど…。

【本】最近読んだ本2010/01/28

『ドキュメント 高校中退 -いま、貧困が生まれる場所』(青砥恭著・ちくま新書)
貧困→学力低下→学業放棄→貧困連鎖の実態を告発した驚愕のノンフィクション。調査に基づいたデータとその分析、100人を超える高校中退者と関係者の証言によって、この連鎖の実態が説得力をもって表出される。なんたって東京・大阪ではすでに1/4が減免家庭で、東京・足立区では44%の就学援助を受けているなんて、知ってましたぁ?
問題解決のために高校義務教育化など具体的な提言をしている点も評価したい。著者は元高校教師。本来はジャーナリズムの世界からこうした良書が生まれるべきだと自戒を込めてこの労作に敬意を表します。m(_ _)m

『ポトスライムの舟』
(津村記久子著・講談社)
契約社員の実態と心象を描いて芥川賞となった話題の小説だが、なんだかその描写もあまりリアル感がなく、物語も唐突に終わる。むしろパワハラを題材にしたもう一遍の「十二月の窓辺」のほうが、リアリティが感じられたなぁ…という読後感。

『究極のトレーニング 最新スポーツ生理学と効率的カラダづくり』
(石井直方著・講談社)
かなり専門的な内容。が、こうした本が講談社から出版され、しかも版を重ねて(ワタシが読んだの3刷)いるというのは健康ブームの証左か。石井先生は現役のプロビルダーでもあるが、安易に言い切らずに、この問題は賛否が分かれるとか、以前自分が書いた本にはこう記したがその後の研究でこうわかった…とか、とても誠実な書きぶり。

【演劇】地点「あたしちゃん、行く先を言って」2010/01/29

京都の劇団「地点」による「あたしちゃん、行く先を言って」を観る。
(1月28日・吉祥寺シアター)
劇作家・演出家太田省吾(転形劇場)のすべての戯曲と評論、エッセーから言葉を抜粋し、コラージュ的に構成したパフォーマンス的な舞台。太田といえば、ワタシ的には「沈黙」と「スローテンポ」に覆い尽された『水の駅』の衝撃がいまだ忘れられないが、三浦基の演出は、それをくつがえし役者もよく喋り、動き回る演出。
ほとんどストーリーらしいストリーもないので、なんだかなぁなのだが、後半になって一人の役者がほかの役者の動きをつぶさに観察しその様を実況したり、同じセリフを次々と異なる役者が発言していく場面など、観る者のイマジネーションを試すかのようにたたみかける。
これもまた芝居也。久しぶりの前衛劇、観劇でした。( ^ ^ ;

【映画】最近観た映画2010/01/30

『スーパーサイズ・ミー』(2002年・監督:モーガン・スパーロック)
自身が実験台となり「マクドナルド」を1カ月間食べ続けるという暴挙(!)を追った驚愕のドキュメンタリー。自身の身体の変化だけでなく、かかりつけの医師、食品会社のスポークスマン、法律家、学校給食関係者まで、この食品に関わるさまざまな人々へのインタビューを重ね、米食品業界とファストフード文化がかかえる問題に迫っていく。といっても、アニメを交えたりマイケル・ムーア流(でもすでに太っているムーアには絶対に撮れない!)のユーモアも欠かさず、エンターテイメントとしても楽しめる(?)一篇。いや、それを言うならホラー映画というべきか( ^ ^ ;。 この映画が全世界で話題になるやマックでは「スーパーサイズ」を廃止したという、「現実」をも変えた作品。

『藏』(1995年・監督:降旗康男)
おーい主演の一色紗英ちゃん(これがデビュー作)はどこへいっちゃったんだぁ~?…というわけであまり期待せずに観たのだが、これが意外と力作。映画のスクリーンを知り尽くした深みのある映像と、共演の浅野ゆう子・夏川結衣も、プロデューサーも兼ねる松方弘樹らの達者な演技(おお、若き西島秀樹も出てる!)で魅せる。ラスト近くの特撮(!)はあまりに陳腐だけど…(それもまた東映らしい)( ^ ^ ;

『橋のない川』(1969年・監督:今井正)
往井すゑの原作を映像化した差別問題をテーマにした社会派劇。(ネタばれだが)最後は全国水平社を創立で終わるが、反差別への闘いの決意と希望が、それまでのモノクロからカラー画面に代わることで象徴される。近々、第2部(70年作)も観る予定。