【本】最近読んだ本2010/01/28

『ドキュメント 高校中退 -いま、貧困が生まれる場所』(青砥恭著・ちくま新書)
貧困→学力低下→学業放棄→貧困連鎖の実態を告発した驚愕のノンフィクション。調査に基づいたデータとその分析、100人を超える高校中退者と関係者の証言によって、この連鎖の実態が説得力をもって表出される。なんたって東京・大阪ではすでに1/4が減免家庭で、東京・足立区では44%の就学援助を受けているなんて、知ってましたぁ?
問題解決のために高校義務教育化など具体的な提言をしている点も評価したい。著者は元高校教師。本来はジャーナリズムの世界からこうした良書が生まれるべきだと自戒を込めてこの労作に敬意を表します。m(_ _)m

『ポトスライムの舟』
(津村記久子著・講談社)
契約社員の実態と心象を描いて芥川賞となった話題の小説だが、なんだかその描写もあまりリアル感がなく、物語も唐突に終わる。むしろパワハラを題材にしたもう一遍の「十二月の窓辺」のほうが、リアリティが感じられたなぁ…という読後感。

『究極のトレーニング 最新スポーツ生理学と効率的カラダづくり』
(石井直方著・講談社)
かなり専門的な内容。が、こうした本が講談社から出版され、しかも版を重ねて(ワタシが読んだの3刷)いるというのは健康ブームの証左か。石井先生は現役のプロビルダーでもあるが、安易に言い切らずに、この問題は賛否が分かれるとか、以前自分が書いた本にはこう記したがその後の研究でこうわかった…とか、とても誠実な書きぶり。