ブログ開設。カルチャーおやじ日記2009/12/03

某所に出向すること4年、久しぶりに娑婆に戻り、人間らしい生活をしておりますmolly gucciです。( ^ ^ ;
というわけで、今まで HPにコーナー掲載していた「読書日記」「シネマ日記」「コンサート&イベント評」を統合した「カルチャーおやじ日記」的なブログを開設しました。
まあ、当方も今ごろかよ!のブログ初心者、しかもアラフィーおやじなので、ソロリソロリと始めたいと思っておりやす。
まずは昨夜、NHK-BSで放送していた→追っかけ再生で観たやつだけど、( ^ ^ ;
『ブラッド・ワーク』(2002・クリント・イーストウッド監督)
じつは『マディソン郡の橋』も『ミスティック・リバー』『ミリオンダラー・ベイビー』もピンとこなかったイーストウッド作品だが、今年公開された『チェンジリング』と『グラン・トリノ』には感心。…なので観たのだが、原作(マイクル・コナリー『わが心臓の痛み』)がいいのか脚本がよく出来ていて魅せる。
演出はいつも通りのオーソドックスなスタイルだが、主人公がTerry McCalebというアイリッシュかスッコティシュ?(原作を読んでいないのでわからん)で、被害者の姉で捜査依頼人がヒスパニック、事件にあった店がアジア系、警察がヒスパニックに黒人にと、『グラン・トリノ』を思わせる多文化ぶり。これって、原作通りなのかな?
『グラン・トリノ』で炸裂するイーストウッドの移民・少数者に対するまなざしは、この作品ですでに萌芽していたのだった(!?)

【コンサート】sg WANNA BE+2009/12/04

昨夜は雨の中、渋谷C.C.Lemonホールでの韓国のヴォーカル・グループ sg WANNA BE+のコンサートへ。

いやはや、韓流ブームも極めれり…ですなぁ。なにせ観客の男女比じゃない女男比は200対1か、もしかすると300対1くらい(笑)。しかも私みたいにおやじ1人で、というのは…他に誰かいたかぁ?( ^ ^ ; 、という状況のなかで念願のsgを観てきましたよ!

なにせ韓国の伝統のチャンダンのリズムを取り入れた「アリラン」を聞いたときの衝撃はいまだ忘れられない。
PAのバランスが悪いのか、ドラムのスネアがビシャビシャ鳴り、ヴォーカルの音も割れ(しかもメインを張るキム・ジノ君は終始力みっばなし…もうちょっと緩急つけたほうがいいんじゃないのぉ?)という、音的には辛い面もあったけど、やっぱりいいよsgは。「アリラン」からアンコールへとたたみかけ、会場も大盛り上がりで、おやじもちょっと、感動、しました。

I LOVE sg WANNA BE+
PONYCANYON INC.(PC)(M) アーチスト:sg WANNA BE+ 価格:2,643円 評価:★★★★


  • I LOVE sg WANNA BE+ ★★★★★

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【演劇】【アート】弘前劇場から、いけばな展まで。ゲージツな一日。2009/12/06

昨日(5日)、下北沢すずなりで弘前劇場『アグリカルチャー』を観劇。この劇団を観るのは太宰治をモデルにした『茜色の空』(96年)以来か? すっげえ、久しぶりじゃん( ^ ^ ; 。

タイトルから農業もの?と思ったら、DVもの?だった( ^ ^ ; …ていうか、農家の「土間」というじつにうまい設定で、さまざまな人が往来するその「場」に次々と表出する家族・地方・労働・教育…の現実と問題。それらが淡々と語られるという長谷川孝治節は健在。私しゃ、好きだなぁ。この劇団。

そして、本日はわが家をデザイン・設計していただいた(感謝m(_ _)m)岡崎乾二郎さんの特別展示を観に東京都現代美術館へ。ついでに(といっては何だが)、レベッカ・ホルン展も覗く。

さらに江戸東京博物館に足を伸ばし「いけばな展 歴史を彩る日本の美」へ。現代の前衛生け花でも観れるかと思ったら、本物の生け花の展示は少なくちょっと残念。が、よく知らない世界だったので、勉強にはなりました。その後、常設展も見学。「江戸ゾーン」は以前にも観たが、「東京ゾーン」は初めて…かも。

というゲージツな一日でした。

【映画】最近観た映画2009/12/17

『アイム・ノット・ゼア』(2007/監督:トッド・ヘインズ)
ボブ・ディランの半生を6人の役者が演じ分けた異色作。たしかにゴールデングローブ助演女優賞を受賞したケイト・ブランシェットは出色とういか、しぐさそっくりで笑える。

『日本の熱い日々 謀殺・下山事件』(1981/監督:熊井啓)
表題の事件をテーマにした熊井監督らしい、全編モノクロで『海と毒薬』を想起させる剛球な作品。手塚治虫の『怪子(あやこ)』で知った( ^ ^ ; この事件の全貌がよくわかりました。

『欲望の翼』(1990/監督:ウォン・カーウァイ)
1960年代の香港を舞台にした、若者群像劇。『恋する惑星』もそうだがこのカーウァイという監督、スタイリッシュな映像・語り口で知られるが、この独特の虚無感というのは返還前の香港人独特の感性なのかなぁ。香港ロスト・ジェネレーション?(そんな呼称はない?) それにしても、『恋する~』同様、配給会社担当者のネーミングは上手い!(原題は阿飛正傳,Days of Being Wild)

『Dolls』(2002年/監督:北野武)
へぇ、これロシアでは大ヒットしたんだぁ…の今回は北野ブルーだけじゃなく色彩感あふれる3組の恋愛悲劇で、文楽『冥土の飛脚』をモチーフにしている(らしい…文楽観てない(>_<)

『元禄忠臣蔵 前・後編』(1941-42年/監督:溝口健二)
別に12月14日に合わせたわけではないが、溝口監督が戦中に撮った名作(と言われている)を観る。でもこれ、興業的には大コケしたそうな( ^ ^ ; 。だよな、いきなり松の廊下で始まって、なにしろ討ち入りのシーンないだもん!(歌舞伎の原作がそうなっているとか)。でも、さすが溝口監督というか後編の盛り上げはスゴイ。あと、新藤兼人が“建築監督”をしたそうで、実寸大の「松の廊下」など美術も素晴らしい。『いけばな展』で観た「花車」の屏風がさりげなく立てられていたのにも驚いた。DVDではかなりセリフが聴きとりにくいが、やはり観ておくべき作品。

【本】最近読んだ本2009/12/18

生きさせろ! 難民化する若者たち
太田出版 著者:雨宮 処凛 価格:1,365円 評価:★★★★


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雨宮サンがプレカリアート宣言をした素晴らしい告発の書。これ読むとホントにY電機で買いたくなくなるなぁ。( ^ ^ ;

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)
文藝春秋 著者:町山 智浩 価格:1,050円 評価:★★★★


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これを読んで、なぜアメリカ人でああも無知(でしかもそれを恥としない)なのかわかった。キリスト教福音主義のなかに「バイブル以外読むな!」という反知性主義の流れが根強くあるのね。だからブッシュが2期も大統領になるわけだ!( ^ ^ ; このエピゾード以外にも教えられることの多い、アメリカの真実。この著者は信頼できると思う。

反撃 (teens’ best selections)
ポプラ社 著者:草野 たき 価格:1,365円 評価:★★★


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じつは昔からこーいう「学校・子ども問題」本は多かったのかもしれないが、近年目につく「いじめ」テーマ本。未読だが川上味央子の『ヘヴン』もうそだし、先日読んだ『温室デイズ』(瀬尾まいこ著・角川書店)もよかった。そろそろこのジャンルを俯瞰する評論が出てきてもいいんじゃないかな(ブックフェアの企画も出来るし。ん、すでに出てる? )。

【演劇】マレーヒルの幻影2009/12/23

昨夜、岩松了作・演出の芝居を初観劇↓
『マレーヒルの幻影』(下北沢・本多劇場)
観劇後にフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』(村上サンが好きなやつネ)に想を得て書き下ろされたことを知る。ハァ、大恐慌のニューヨークを舞台した芝居だし、なるほど米ロスジェネ的な混沌・喪失感は感じられたけど…。これが初舞台という麻生久美子とARATA(あのスマイル!@『ピンポン』)は堂々たるもの。でも、まるで翻訳劇の新劇を観ているよう。近年の演劇状況には明るくないが、これって進化なの?

【本】最近読んだ本2009/12/24

恋の花詞集―歌謡曲が輝いていた時 (ちくま文庫)
筑摩書房 著者:橋本 治 評価:★★★★


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1899年(明治32年)の『青葉茂れる桜井の』から始まって1963年(昭和38年)まで、64曲の歌謡曲を編年体で解説・分析・解釈したニッポン歌謡曲史にして大衆論。このホント、博覧強記にして鬼・評論家で、ワタシの知らない歌、エピソード、分析多数でした。

聴いて学ぶ アイルランド音楽 (CD付き)
アルテスパブリッシング 著者:ドロシア ハスト,スタンリー スコット 価格:2,625円 評価:★★★


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本+CD+ネットを連動させた音楽本。講義を元にしているのでちょっと勉強っぽくて辛いけど、こういう形態の書籍は今後増えるかも?

small planet
リトルモア 著者:本城 直季 価格:2,625円 評価:★★★★


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以前から気になっていた実写をミニチュア細工のように撮る手法で、木村伊兵衛賞を獲った若き写真家の写真集。海外にも同様の手法で撮る人もいるようだけど、本城サンが一番ミニチュアっぽくてカワイイ( ^ ^ ; 。巻末の佐藤雅彦氏の解説(?)にもあるように、ワタシたちは画像を「脳」で観ているんだなぁ~ということがわかる写真集。

【本】ヘヴン(川上未映子)2009/12/26

『ヘヴン』川上未映子著(講談社)
「いじめ」をテーマにした若き芥川賞作家の話題作。帯に「驚愕と衝撃!圧倒的感動!」とあるが、残念ながら「涙はとめどなく流れ…」なかった…( ^ ^ ; 。「いじめ」の描写も、善悪を描いて…というのもそんなに目新しいものではないし、『温室デイズ』(瀬尾まいこ)や『ファイトじじいクラブ』(山本健太郎)のようなカタルシスもない。が、たしかに最後まで読ませる著者の筆力が感じるし、小説という表現ならでは「深み」は感じさせる。つまり読み手の想像力と思索を刺激する作品という意味で、やっばり「文学」だよなぁと思いいった次第。


【コミック】最近読んだコミック2009/12/27

『星守る犬』(村上たかし・双葉社)
職と家族を失った中年男と犬との出会いと別れを描いて話題の「泣ける本」。凡百の動物ファンタジーではなく、時代性を取り入れている点がこの作品の人気の秘密か。作者の「あきがき」もイイ。正直、たしかに泣けます(T_T) 。

『リトル・フォレスト(1)』(五十嵐大介・講談社)
都会の生活に疲れ故郷に戻った若い女性の日々の食と暮らし…という『食堂かたつむり』テイストなネイチャー・マンガ。細やかなな食づくりの描写を眺めているだけでホッとする…というかそんな佳作。作者はホントに男性?

『ファイトじじいクラブ』(山本健太郎・エンターブレイン)
亡き祖父の力を借りて「いじめ」っ子たちに反撃する表題作はなかなか痛快。高齢化社会+少子化子ども社会をポジティブに撃っている。

【映画】最近観た映画2009/12/30

『妻は告白する』(1961年・監督:増村保造)
こちらは若尾文子が怪演した『羅生門』的なサスペンス映画。女の本性はどこに? はて、真相は?と若尾がどんどん表情を変えていく様を迫真なカメラワークでとらえていて、とくに雨でずぶ濡れになったシーンは見ごたえある。

『嵐を呼ぶ十八人』(1963年・監督:吉田喜重)
異才・吉田喜重が若い労働者たちの交流を描いた青春映画。今の時代に通じる正規VS非正規雇用の問題なんかにも触れてるけど、なんだか吉田らしい鋭さが感じられないやや凡庸な作品…。でも、誰だかわかんなかった香山美子はカワイイ。( ^ ^ ;

『夜行列車』(1959年・監督:イェジー・カワレロウィッチ)
『尼僧ヨアンナ』で知られる監督による夜行列車を舞台にした群像劇。ポーランド映画だが冒頭シーンなどのカメラワークはロシア・リアリズム、音楽はモダン・ジャズで、恋とサスペンスが錯綜するストーリーはフランス映画、そしてラストのバルト海を臨むシーンではなんだかイタリア映画っぽいという不思議な作品。