最近読んだ本2010/04/02

『新 世紀メディア論』(小林弘人著・ バジリコ)
かつての日本版『WIRED』に編集長であり、最近では話題の書『フリー』の 監修者としても知られる著書によるデジタル出版論。Kindle、i-padが登場する現在の状況を予見、というよりも当然こーなるのに、何をやってんだ お前ら!と檄を飛ばすデジタル文化と格闘する真摯な出版人による警告の書。

『ボーダー&レス』
(藤代泉著・河出書房新社)
かつて文学でも映像でも散々語られた日本人と在日コリアンとの「差別意識=見えない壁」を題材にした小説。手垢にまみれたテーマともいえるが、新入社員の日本人の「僕」の目を通して、重くならず、さりとて軽んずるのでもなく、仕事・友情・恋に揺れ動く青春・友情を等身大に描いたあたりが今日的であり、若い(?)読者の共感を呼んでいるのだはないか? ナ。

『現代演劇のフィールドワーク』(佐藤郁哉著・東京大学出版会)
この著者、どこかで見た名だと思ったら『暴走族のエスノグラフィー』の人でした( ^ ^ ; 。で、本書は7年におよぶフィールドワークを経て、著したという労作。経済(カネね)面も含めて、社会学のフィールドワークという手法を使って、小劇場の実相を描いたみせた点は評価できると思う。戦後演劇を俯瞰するという意味でも、系譜図なども付いて、ワタシ的にはとても勉強になりました。(^_-)