【本】ふたたび、ここから 東日本大震災・石巻の人たちの50日間2011/07/20

ふたたび、ここからふたたび、ここから
池上正樹

ポプラ社 2011-06-07
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友人(飲み友だち…)であるライターの池上正樹さんが、被災地・石巻のルポを書き下ろした。被災地ルポは既に何点か刊行されているが、東日本大震災による最大の被災「都市」である石巻市(死者・行方不明者約6000人)に特化したルポルタージュは、本作がおそらく最速、唯一ではないだろうか。

なにしろ池上氏が石巻に入ったのは、震災から12日後の3月23日のこと。その顛末についても本書で触れているが、道路も鉄道も寸断され、異動も物資の確保もままならない中で、とにかくそのジャーナリストの本分たるフットワークのよさにまず敬服する。

その困難な状況のなかで、池上氏はとにかく“足”で稼いだ取材を積み上げていく。
冒頭の津波と火災によって校舎がガレキと化した我が母校・石巻市立門脇小学校のルポからして、その詳細な被災・避難の記録が丹念に綴られる。鈴木校長以下による避難誘導や地震に怯える子どもたちの様子、そして卒業式にいたるまでの軌跡が、貴重な証言記録としてここに残された。

ガレキとなった校舎の映像(本書表紙)ばかりが、その象徴にしてしばしばマスコミに報道されるが、その裏側でどんな人々のドラマ(というのにははばれるが…)があったのか、しかと記されている。

さらに、孤立した牡鹿半島の小さな村や15メートルの津波に襲われた女川町など、石巻各地の被災情報を報告。
当然、復旧・復興の問題にも触れている。

“会社解散”を迫られた宮城交通の社長が慟哭する。
「私たちみたいな零細企業に対しては、1年か2年、利子を取らずに2000万円とか5000万円とか貸してもらって、3年目から利子を払う酔うな対応が必要です。そうすれば、いままで80人いた従業員が皆、就労することができる。それでないと、人も雇えない」…。

NHKスペシャルでも報告された石巻赤十字病院のトリアージ(患者たちを重症度と緊急性によって分別する作業)の様子がここでも取り上げられている。震災から10分後にはロビーに集まった医師たちが、「トレーニングしていたのではと思えるような流れ作業でした」「外科の先生を中心に、誰がどこにというような役割を明確にして、トリアージをしていきました」という多くの政治家に彼(彼女)らの爪の垢を煎じて飲んでほしい、迅速な対応が再現されている。

そして、同病院の阿部企画調整課長は、こう訴える--。
「テレビを見ているだけでは、石巻の惨状は、なかなか伝わりきれません。(中略)観光でもいいから、ツアーを組んでも、石巻の惨状を直接見て、感じ取ってほしい」…。

プロローグでも記されているように、多くの人命と雇用が奪われた石巻の復興はそう簡単なものではないだろう。ワタシの友人たちも、自宅に戻ったものの津波の爪痕は深く、いまだに2階暮らしを強いられている。
今後も被災地の定点報告ルポは不可欠だが、とにかくその綿々と続くであろう記録ルポ群の第一歩として本書が刊行されたことを嬉しく思う。
池上さん、ありがとう!

【お知らせ】
池上さんの講演会が以下内容で開催されます。ぜひ、ご参加ください。
池上正樹氏講演会  「ふたたび、ここから」とその後
日時:11月11日(金曜日) 19:00(18:30開場)
場所:中野サンプラザ 14F クレセントルーム
料金:1500円
主催:東京しらうめ51 ※参加ご希望の方は こちらまで

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