【本】駆けぬける現代美術 1990-20102011/05/18

駆けぬける現代美術 1990-2010駆けぬける現代美術 1990-2010
田中 三蔵

岩波書店 2010-12-16
売り上げランキング : 106471

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
朝日新聞の美術評で健筆する田中三蔵記者による20年にわたるレビュー選集。それだけに、ニッポンの現代美術界の動静が俯瞰できる内容になっており、この世界について少し突っ込んで知りたい・考えてみたいと読み手にとってはありがたいガイドにもなっている。

一読して感じるのは、女性作家の進出と、アジアの活況だ。
女性については、わざわざ「女性作家群の開花と主導」という章まで設け、オノ・ヨーコ草間彌生といった重鎮から、束芋やなぎみわといった気鋭のアーティストまで、その活動の幅と質をとらえる。

「アジア」については、第四章「進展する国際化」の中でまばゆく紹介される。それはポピュラー音楽界で90年代で起こった“ワールド・ミュージック”ブームを思わせる活況ぶりだが、一方で、欧米のミュージシャンが非西欧文化を搾取しているという批判が起こったと同じように、アフリカの現代美術を例にとって「『魔術師』として消費するな」と警告する。

そうしてみると、先日ワタシが足を運んだヘンリー・ダーガーに代表される“アウトサイダー・アート”などは、さしずめ現代美術界におけるパンク・ロック・ムーブメントだったのだろうか?

しかしながら、本書でその代表作家として紹介されているバスキアなどは、パンクというよりはヒップホップ・アーティストだろう。アートを街(それもダウンタウン)に解放し、ストリートを展覧会場にしてしまったその活動スタイルは、ドゥーワップやホコ天バンドを連想させる。

もう一つの潮流として取り上げられているのは、「回顧展」への視座だ。
「回顧」といってもそれはけっしてノスタルジアなものではなく、第一章の「近代の見直し」にもつながる、“新しい視点”を誘うものだ。

ワタシも刺激を受けた「『日本画』の前衛 1938-1949」展「船→建築」展 、さらには「シュールレアリスム展」などもそうした、新しい視点、異なる角度からのアプローチによって、アートの名を借りたある種の思想・論考の提示になっていたかと思う。

そうした意味でも、著者が二科展や日展などの団体展を例に挙げて、「全体として『類型化』『旧態依然』の感がぬぐえない」と切って捨てているのは、ワタシ的にはじつに心地よった。
常に革新しプログレス(進化)するからこそ、モダン=現代・アートなのだから。

『駆けぬける現代美術 1990-2010』の参考レビュー(*タイトル文責は森口)
「濁流に身を投げながら水先案内」--asahi.com(横尾忠則氏)

↓応援クリックにご協力をお願いします。
人気ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yui-planning.asablo.jp/blog/2011/05/18/5869250/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。