【落語】春風亭昇太・春の噺2011/03/03

春風亭昇太・春の噺
久しぶりの落語会で、春風亭昇太師匠の独演会「春の噺」を聴きに行く(3月3日・世田谷パブリックシアター)

放送作家にして落語に造詣の深い高田文夫氏が、かつて新聞でのコメントだったかインタビューかで、「もしかしたら“昭和の爆笑王”と言われた全盛時の林屋三平よりも、今の昇太のほうが面白いかもしれない」のようなことを言っていたが、その一文を目にしたときにひどく合点がいったものだった。

それほど、ワタシにとって昇太師匠との“出会い”は衝撃的だった。
年寄りが昔を懐かしむかのように、十年変わらぬ噺を、これまた変わらぬ口調で語る芸…という認識しかなかった「落語」を、こんなに現代的で面白いエンターテイメントだったのか!と目を開かせてくれたのが、昇太師匠だった。

緩急つけたスピーディーな展開と、身体をダイナミックに使ったストーリーテーリング、なにより観客の気持ちを自在に操るパフォーマーぶりに、その後に知る若手落語家によるムーブメントととも呼べるハイブッリド落語を牽引する一人として認識した。

その昇太師匠の高座に接するのも実に久しぶりで、この日はゲストの立川談春師匠を挟んでの二席。

演題が「春」なので、それにちなんだ(?)ものとしてまずは旬な“八百長相撲”をネタにした「花筏(はないかだ)」。病気の大関の“替え玉”となって提灯屋が、ひょんなことから土俵に上がることになって…という滑稽噺を楽しく演じる。とくに、気弱な提灯屋の豹変する喜怒哀楽を、うまく演じわけて笑いをとる。
もう一席の「花見の討ち入り」も本人が解説するように「出てくる人たちがみな馬鹿な連中」というバカバカしいお噺。こういう世界は昇太師匠お手のもので、スピード感溢れる軽妙な語り。

しかしながら、結局この日の“主役”はゲストの談春師匠だったかもしれない。
桃月庵白酒師匠の十八番でもある「替わり目」を、“名人”の風格を漂わせながら、人情と笑い、風刺を効かせ一瞬にして談春ワールドへと誘う。アッサリとした語りだが、十分に磁場をつくった。
昇太師匠の現代的で軽妙な笑いと対比をなすように、古典に深みを与えながら今日的な“語り”で観客を惹きつけた談春師匠の話芸が光った。

そのせいか、どうも昇太師匠のハチャメチャぶりがややおとなしく見えてしまったのは気のせいか。たしかにご本人の言うように「バラエティに富んだ現在の落語界にあって、かってのような牽引者とのして“力み”がそれほど必要ないのかもしれないが、はちきれんばかりのエネルギーが持ち味の昇太ワールドをもっと堪能したかった。

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