【パントマイム】湘南亀組「越境の身体」2011/02/28

湘南亀組「越境の身体」
パントマイム劇団・湘南亀組の30周年記念公演「越境の身体(からだ)」に足を運ぶ(2月26日・北とぴあ)

寡聞にしてこの劇団のことは本公演の案内で知ったのだが、「平塚養護学校寄宿舎パントマイム同好会」からスタートして、かれこれ30年に及ぶ活動歴をもつという。おそらく養護学校の先生を中心とした、素人マイム集団なのだろうと思って公演を観たのだが、その予想は大きく覆された。

まず、舞台に登場するパーフォーマーたちは、障害のある無しを問わないさまざまな人たちだ。そのさまざまな身体性と集団性を活かし、パントマイムの枠を超えた多様なパフォーマンスを魅せてくれた。

もう30年も前のことだが、在日韓国人で身体に障害に持つ金満里氏率いる「劇団態変」の公演で、カラフルな衣装をまとった金氏が細いを手足を“でんでん太鼓”のようにくねらせ舞台を転がる姿を観たときに、その身体は本当に“美しい”と思った。金満里は天才だと思った。

本公演で、そのシーンがまざまざと思い返された。
黒タイツに上半身裸体のパフォーマーたちが舞台に居並び、次第に身をくねらせ始める。足に障害をもつ男性は、座った状態から両腕だけでひょいとその身体を浮かせ“歩行”してみせる。
舞台に身を横たえたほとんど身体の自由がきかない男性を、健常(?)の男性パーフォーマーがゆっくりと持ち抱え、慈母のように慈しむ…。
その息をのむようなパーフォーマンスはまさに、本公演タイトルである「身体の越境」を視るかのように、幻想的で美しい…。

また、「瞽女」というパーフォーマンスでは、着物を着た二人の障害をもつ女性を“瞽女”さんたちが、とり囲む。それだけで、そこには“物語”が立ち上がる。

圧巻は「ひ」と題された男女二人による舞踏で、身をくねらせ異彩を放つ男性パフォーマーが、身体的にはより自由であるはずの(健常?)女性舞踏家を圧倒する。まさに身体が“越境”した瞬間をそこに観るかのように…。

冒頭のライティングに工夫を凝らした“影絵マイム”や名作映画の一番面をコミカルに再現した舞台など、さすがに30年のキャリアの中で培ってきた研究と演出で、観客を厭きさせない。

途中、朴保ライブと東京朝鮮中高級学校による朝鮮舞踊や民族楽器演奏も挟み込み、特大新聞紙を出演者たちが思い思いにぶち破るというカタルシス溢れるフィナーレで、2時間余の“ショー”の幕を閉じた。

すでに海外公演もいくつもこなしている同劇団だが、もっと多くの人に知られてもいい、本格的なノーマライゼーション・パフォーマンス集団だと思う。

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