【アート】曽根裕展「Perfect Moment」2011/02/14

曽根裕展「Perfect Moment」
会場に一歩足を踏み入れると、そこには緑まばゆい巨大な「バナナ・ツリー」がワタシたちを迎えてくれる。その藤細工による祝祭感あふれる作品に囲まれて、やがて白石のオブジェが光をもって立ち現れる。
その作品、大理石によってしつらわれた「木の間の光♯2」は、本来は無機質な“石”がまるで生命を携えたように、放射状の光が腕を広げながらワタシたちに問いかけてくる…。

東京オペラシティ・アートギャラリーで開催されている曽根裕展「Perfect Moment」は、近年、精力的に取り組んでいるという大理石による緻密な彫刻作品を中心に、映像作品なども紹介する“作家魂”が炸裂する個展であった(2月12日に鑑賞)。

会場に木々を植え、ジャングルに模したのも、もちろん作家自身の指示だという。会場そのものが、この作家の“作品”なのだろう。その土と緑の回廊をくぐり抜けていくと、忽然と白き光を放つ作品がワタシたちの目に飛び込んでくる。

「6階建てジャングル」「大観覧車」といった作品の異様な迫力はもちろんだが、やはりその存在感で他を圧倒するのが、ニューヨークのマンハッタンの街並みをそのまま大理石に刻み込んだ「リトル・マンハッタン」だ。

その緻密な刻みは、作家の執念さえ感じさせる精巧なもの。
ミ ニチュア細工を思わせるビル・建物群に目を奪われがちだが、ワタシは、その街を支えるかのように美しいフォルムで台座となるその姿に、見ほれてしまった。

まるで、底の見えない海溝にポッカリ浮かぶ島(陸)のように、その裾野は深遠なる思慮をたたえながら静かに下降していく。優雅な力強さをもって、人びとの暮らしを支えているのだ。
その周囲を囲む「バナナ・ツリー」たちも、入り口のものよりもさらに生命感をたぎらせ、この秀作を讃えるかのように、そそり立つ。

ジャングルを抜け、カーテンの中に隠れるかのようにひっそりと輝くクリスタル製の「木のあいだの光♯3」もまた、その透明な“切り株”に生命が息吹くかのように清楚な光を放つ。

映像展示では、2つの作品が同時に公開されている。
だだっ広い展示室の、対面となる巨大な壁に「バースデイ・パーティ」と「ナイト・バス」が映写され、観客は壁際のベンチに座り、思い思いに作品を眺める。

一本ずつ作品を観ることもできるし、視線を二つの壁に行き来させザッピング鑑賞することもできる。ワタシも最初のうちこそそうしていたが、やがてそれをやめた。
二つの映像を同時に“感じる”ことで、ワタシの中でシンクロ(共振)が始まる…。

作家自身が出会ったさまざまな人たちと一緒に誕生日を祝うシーンが延々と続く「バースデイ・パーティ」、タイトル通り夜のバスに乗り込み、これまた延々と流ゆく街路を写し出した「ナイト・バス」。
命あることを祝しながら、人は人生という旅を続ける…。

そう“感じた”ときに、これは二つの作品が揃ってこそ成り立つ、生命讃歌であることに思い至る。
そう、作品に通奏するのは、生命(いのち)に対するかぎりない肯定と、つきない探究心…。ワタシは、そこにこの作家の魅力を感じるのだ。

曽根裕展「Perfect Moment」の参考レビュー一覧(*タイトル文責は森口)
「ジャングルの中の“遺跡”」--MSN産経ニュース(渋沢和彦氏)
「すべての作品がダイナミックかつ繊細」--イズムコンシェルジュ(上條桂子氏)
「とにかく『強い』、作品の持つ『力』」--石原延啓 ブログ
「構築への歓びやのびのびとしたユーモアが感じられない」
--アートイベント中心、その他つれずれ。
「きわめて批評的作家」--JT-ART-OFFICE
「ハイテンションぶりに圧倒されたトーク」--あるYoginiの日常

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