【本】科学と神秘のあいだ2010/10/05

科学と神秘のあいだ(双書Zero)科学と神秘のあいだ(双書Zero)
菊池 誠

筑摩書房 2010-03-24
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いわゆるニセ科学批判書は(特に近年)あまた出版されているが、本書における著者のスタンスは明確だ。

かの大槻義彦先生を、「テレビ出演して、お茶の間にオカルト批判を届ける活動ではパイオニア」と評価しつつも、「残念ながら、テレビでの大槻先生は絵に描いたような頑固な科学者を演じておられる」「『科学的におかしい』『間違い』と声高に言うのを見るのはたしかに面白いし、ときに痛快でもあるきだけど、でもそういうパフォーマンスは、これまで考えてきたような問題にはあまり効果がなさそうだ。というより、相手を頑なにさせるという意味で、むしろ逆効果かもしれない」と評している。
対してこの著者は、最後まで柔らかな語り口を崩さずに、やさしく読者に二セ科学の問題を語りかける。

1958年生れというから、ワタシとほぼ同世代の“ロックっ子”なのだろう。電子楽器テルミンや、やたらと挿入されるロック小咄は、読者に「頑固な科学者」像を植えつけないための、著者流のパフォーマンスとみた。
だが、その親切さ(?)のゆえ、ややまだるっこしい記述もあって「天皇家のY染色体」について、「物語批判」も含めて10数ページにわたって解説しているが、もうちょっとコンパクトにまとめてほしかった…ていうか最後まで読んでもよくわからなかった。(→それはワタシの問題か(笑))。

もっとも、演奏活動もされているというテルミンはご愛嬌にしても、唐突に繰り返されるロック小咄(ちょっと笑えるが)はあまりパフォーマンスとして効いている感じはせずに、だったら「ニューエイジ思想におけるロック世代の責任論」などのテーマで、今も拡大し続けるニセ科学の問題をもっと幅広く取り上げてもらいたかった。

とはいうものの、ニセ科学蔓延の時代に、こうした“文系科学者”の存在は本当に貴重だと思うし、著者にはぜひ今後も続編を書いていただきたい。巻末のブックガイドも丁寧な解説で役立った。

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