【映画】本日休診2010/09/17

『本日休診』
『本日休診』(1952年・監督:渋谷実)
これだから旧作漁りは止められない。これは、はっきり言って傑作です!
井伏鱒二の短編(未読)をもとに、休診日の老医師とそれを取り巻く人びとの悲喜劇を見事に活写し、笑いに満ちた一篇に編みあげたもう一つの『赤ひげ』ともいうべき作品。
戦後の混乱のなかで、さまざまな災難や貧困とたたかいながらも希望をもって生き抜く庶民の姿…それを地域で慕われる老医師が暖かい目で見守り、ときに笑い飛ばす。
それを最も象徴するのが、三國連太郎扮する元兵隊…彼は戦争の後遺症で精神に障害をきたしている(今でいうPTSDだろうか)が、彼と周囲の人びととの笑いを誘うやりとりだろう。老医師は彼の奇行に笑いながらもつきあい、彼をとりまく人びともけっして彼を「排除」をしない。傷ついた「鳥」を飛行兵と思い込む彼と一緒に、飛んでいく「飛行兵」を見送るシーンなど笑いながら泣ける…お見事。
とにかくワンカット、ワンシーンに無駄がない。まさに、黒澤や溝口が言う連続する「写真」の美しさだ。それはかつての日本映画の矜持ともいえる「美」だと思う。
未見だが、この年、渋谷監督はこちらも名作とされる『現代人』という作品も撮っている。老医師を演じた柳栄二郎の老練な演技はもとより、若き日の鶴田浩二や淡島千景など、脇役陣も輝いている。今までノーマークだった渋谷監督作をもっと観たくなった。

◆『本日休診』のおすすめレビュー
5001:a cinema odyssey
銀の森のゴブリン


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